進美影デザイナーによる「ミカゲシン(MIKAGE SHIN)」は2025年春夏コレクションで“錆(さび)デニム”を定番化する。“錆デニム”は、トタン屋根や青銅、コンクリートの錆に着想したグラフィックをプリントしたもの。今シーズンのテーマは“Adorable Clumsy”(ままならないもの、いじらしいもの)であり、進デザイナーが東京の街中で見つけた錆と、そこに潜む哀愁や愛おしさを表現した。ラインアップは、ジーンズ(3色、4万4000円)、ハーフスリーブデニムシャツ(2色、3万1900円)、デニムタンクトップ(2色、1万7600円)の3型で、各4サイズをそろえる。
“錆デニム”の定番化は簡単ではなかった。23年春夏シーズンに初めて発表し、量産した30本が完売するという反響を得たが、錆表現のためのブリーチ染めの塗料が生産中止になり、技術的な問題によって徐々に安定生産が難しくなっていたという。しかし香港のデニム職人と出会い、デニムの上にグラフィックデータを幾重にもプリントすることで理想の風合いを実現。「コロナ禍や酷暑の影響で作りたいアイテムと売り上げのバランスを取るのが難しい時期があり、不安にかられたこともあった。量産できるデニムの加工方法が見つかったため、ブランドの方向性が定まってうれしい」と話す。
「ミカゲシン」は錆デニムを作り始めてから男性客も増えており、現在は顧客の5割を男性が占めている。セットアップアイテムの需要も高まり、今季はジーンズに加えてトップスを発表した。「今後はデニムをキラーコンテンツにして、デニムとテーラードのミックスコーディネートを楽しんでもらえるようにしたい。次シーズンもデニムを4型ほど増やす予定」と進デザイナー。