ナイキ(NIKE)が19日に発表した9〜11月期業績は、売上高が発表資料ベースで前年同期比8%減の123億5400万ドル(約1兆8901億円)、純利益は同26%減11億6300万円(約1779億円)で着地し、市場予想を上回ったことで株価は19日の時間外取引で一時10%急騰した。10月に就任したエリオット・ヒル(Elliott Hill)社長兼CEOは自身の最優先事項として、「スポーツをナイキのあらゆる活動の中心に戻す」と語った。
大量に積み上がった在庫に対し、値引きプロモーションを導入して需要の再調整を実施している。それにより、9〜11月期決算は「予想を概ね満たすことができた」とマシュー・フレンド(Matthew Friend)最高財務責任者はコメント。“エアフォースワン”“エアジョーダンワン”“ダンク”など人気シリーズを減らすことで、需要をリセットした。
ブランド別では、「ナイキ」売上高は全地域での売り上げ減により同7%減の119億5000万ドル(約1兆8283万円)、「コンバース(CONVERSE)」は同17%減の4億2900万ドル(約656億円)だった。チャネル別売上高では、直販(EC、直営店)が同13%減の50億ドル(約7650億円)、卸が同3%減の69億ドル(約1兆557億円)。在庫量は前年ほぼ横ばい。
ヒルCEOは、イノベーションある製品開発や企業文化の改善を進め、業績回復につなげている。中でも最も注目すべきは新たな卸売り戦略だ。ナイキはジョン・ドナホー(John Donahoe)前社長兼CEOのもと、コロナ禍の21年以降、卸先のスポーツ量販店と手を切って直販戦略を強化してきた。結果、足元の苦戦につながったとして、ヒルCEOのもと卸販売の再強化を図っており、卸先との関係性再構築に努めている。