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連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第167回

ライバルが助け合う、ビンテージやアーカイブの世界

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ライバルが助け合う、ビンテージやアーカイブの世界

ティファニー(TIFFANY & CO.)」が、タイタニック号の救護者を救ったカルパチア号の船長に送った懐中時計を買い戻しました。実にロマンのある話です。

これだけヒストリカルな時計だと、そりゃ買い戻したくなるものでしょう。もし「ティファニー」が後年、アーカイブをお披露目する展覧会などでこの貴重な懐中時計を見せてくれるとしたら、私は間違いなく駆けつけ、「へぇ〜」と思いながらタイタニック号に思いを馳せ、一部ではあれど乗客を救護した船長に贈った時計が「ティファニー」であるという事実に感銘を受け、結果「ティファニー」ってスゴい!と思うことは間違いありません。そして、この時計が私のような人間を後年、長年にわたり生み出し続けるのだとしたら、正直3億円なんて安いものではないでしょうか?

このようにヒストリーやストーリー、レガシーがあるブランドは常々、まさにこうした逸話を体現する自社商品を探し求め、買い戻しています。ラグジュアリーブランドだけではありません。例えば以前取材した「リーバイス(LEVI'S)」のヒストリアンという肩書きの女性は、あるときはイーベイ(日本でいうメルカリようなプラットフォームです)をパトロール。あるときは彼女に寄せられたビンテージデニムに関する情報の真偽を確かめ、またあるときはSNSをスクロールして「リーバイス」の歴史を物語ったり、「リーバイス」を愛し続ける大衆のストーリーを代弁したりのジーンズを探し求めています。貴重なジーンズは、もちろん「オークションで競り負けることもある」と言っていましたが、彼女には一定の金額以内で意味があればジーンズを購入できる裁量があるとも聞きました。

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