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箱根駅伝2025、注目を集めるのはどのシューズ? 10ブランドを一挙紹介

お正月の風物詩と言えば、お雑煮に初もうで、そして1月2、3日の箱根駅伝!2日間にわたって全国的に放送されるレースは世界でも珍しく、宣伝効果は絶大だ。スポーツメーカーは箱根に照準を合わせて新型シューズを仕込んでおり、熾烈なシェア争いの場にもなっている。ここでは、24年の箱根で着用者がいた10ブランド(うち、24年が箱根初登場となったのが3ブランド)の、25年の期待のシューズを紹介。「ナイキ」一強時代を経て各社の開発競争は激化、混戦している。
※以下、年ごとの着用者数、シェア率の出典は全て「アルペン グループ マガジン」

「ナイキ」
前回着用者:98人(42.6%)
注目モデル:“アルファフライ3”

21年にシェア率95.7%を記録し、経済誌などでも話題になった「ナイキ(NIKE)」。そこから徐々に着用率は落としてきたが、24年もシェア率で首位を維持。各社の追い上の中、数字をどこまで保てるかに注目が集まる。

注目モデルの“アルファフライ3”は、昨年の箱根でも選手に選ばれたモデル。歴代“アルファフライ”の中で最軽量で、前足部に2つ搭載した“エア ズーム ユニット”、“ズームX フォーム”による厚めのミッドソール、カーボンファイバーの“フライプレート”からなる独自のシステムがパワーを生み出す。11月22日に発売した24-25年向けの“エキデン パック”の“アルファフライ3”(3万9655円)は、白地に赤のファイヤーパターンが特徴。駅伝競争黎明期のころに夜道を照らした松明(たいまつ)が着想源という。

「アシックス」
前回着用者:57人(24.8%)
注目モデル:“メタスピードスカイパリ”

箱根の定番だった「アシックス(ASICS)」だが、「ナイキ」旋風が吹き荒れた21年は着用者ゼロの屈辱を味わった。しかし、“メタスピード”発売以降の22年は11.4%、23年は15.2%と巻き返し、24年は24.8%まで回復。25年は「ナイキ」にどこまで迫れるか。

箱根に向けては、走法の違いに合わせストライド型の“メタスピードスカイパリ”、ピッチ型の“メタスピードエッジパリ”の新色(共に2万7500円)を12月5日に発売した。独自の軽量クッションフォーム材“エフエフターボプラス”をミッドソールに採用。新色は、ピンクとイエローの爽やかな色使いがポイント。24年夏のパリ五輪でも、イエローの“メタスピード”シリーズのシューズを履いた選手は大活躍、特に、男子マラソンのバジル・アブディ選手(ベルギー)は銀メダルに輝いた。

「アディダス」
前回着用者:42人(18.3%)
注目モデル:“アディゼロ アディオス プロ 4”

24年の箱根で、2年ぶり7度目の総合優勝を果たした青山学院大学。出場選手10人中6人が履いていたのが「アディダス」だ。また、「アディダス」は青学に加えて、今シーズンの大学駅伝で既に2冠を手にしている國學院大学ともパートナーシップを結んでいる。25年に旋風を巻き起こすか、期待が高まる。

注目モデルは“アディゼロ アディオス プロ 4”(2万8600円)。カーボンプレートではなく、足の指の形に沿うような5本骨形状のカーボンバー“エナジーロッド 2.0”を搭載し、前足部は船底のようなロッカーポイント構造を採用している。11月27日に発売した“アディゼロ エキデン コレクション”では、集中と情熱をイメージしたというシルバー×赤のカラーリングの“アディゼロ アディオス プロ 4”をそろえた。

「プーマ」
前回着用者:20人(8.7%)
注目モデル:“ディヴィエイト ニトロ エリート3”

箱根を「ナイキ」が席巻した21年から、改めてパフォーマンスランニングを強化している「プーマ(PUMA)」。24年夏は、多くの大学が合宿地とする長野・菅平に無料のリカバリーステーションも設けた。

注目モデルは“ディヴィエイト ニトロ エリート3”(3万800円)。“ニトロフォーム エリート”搭載のミッドソールは前作よりも4ミリ厚くなり、優れたエネルギーリターンを実現する。11月29日に発売された“エキデン グロー パック”では、「毎朝トレーニングに励むランナーが目にする、夜明け前の空を表現した」というパープルからイエローのグラデーションカラーが印象的。

「ミズノ」
前回着用者:5人(2.2%)
注目モデル:“ウエーブ リベリオン プロ ロー“

ミズノ(MIZUNO)」も「アシックス」と共に、かつては箱根の定番だった。しかし、「ナイキ」の躍進と共にシェアを減らし、21年以降はシェア1〜2%前後で推移している。

「反発こそ、勝利への一歩。」と銘打ち、“ウエーブ リベリオン プロ ロー“(中足接地の選手向け)、“ウエーブ リベリオン プロ スリー”(前足部接地の選手向け)を11月29日に発売した。共に2万9700円。「爆発的な反発でスピードをアシストする」ため、従来使ってきたものより柔らかい独自のソール素材“ミズノ エナジーXP”を採用。柔らかいソールでも走りやすいよう、接地エリアが広くフラットになるソール構造もポイントだ。繊維強化ナイロンプレート“ミズノ ウェーブ”も搭載。

「オン」
前回着用者:3人(1.3%)
注目モデル:“クラウドブーム ストライク LS”

スイス発「オン」は、24年に初めて箱根での着用者が出た。五輪やワールドマラソンメジャーズ(マラソンの世界6大大会)では、着用した選手が好成績を多数残している。箱根での露出も今後さらに増えていきそうだ。

注目モデルは、パリ五輪に合わせて今夏パリで製法をお披露目した“クラウドブーム ストライク LS”(4万4000円)。ロボットアームからスプレー噴射してアッパーを高速製造する新技術「LightSpray」で作られており、アッパーは極薄でシームレス、シューレースも不要。廃棄物やCO2排出量も大幅に削減できるという。パリ五輪では、女子マラソンのヘレン・オビリ選手(ケニア)が同シューズを着用して銅メダルに輝いた。日本では10月31日に数量限定で発売した。

「ホカ」
前回着用者:2人(0.9%)
注目モデル:“ロケット X 2”

「オン」と同じく、米「ホカ(HOKA)」も24年は初めて箱根で着用者が出た。果たしてその流れは25年も続くのか、要注目だ。

注目モデル“ロケット X 2”(3万5200円)は、カーボンプレートをより反り上がった形状にすることで、高い推進力を実現。一新した高反発な新素材の2層ミッドソールのPEBAフォームでカーボンプレートを挟み込んでいる。独自のクッション性の高さによって、「シューズに走り方を合わせずに、よりスピードに乗ることを可能にした」。

「ニューバランス」
前回着用者:1人(0.4%)
注目モデル:“フューエルセル スーパーコンプ エリート v4”

日本ではライフスタイルスニーカーのイメージが強い「ニューバランス(NEW BALANCE)」だが、老舗ランニングシューズブランドとして、「ナイキ」旋風以前も以降も、箱根では継続して着用者がいる。順天堂大学とはサポート契約を結んでいる。

注目モデルは“フューエルセル スーパーコンプ エリート v4”(2万9700円)の新色。繊維とその編み込み構造を改良した新たなカーボンファイバープレートを採用。PEBA配合の“フューエルセル”ミッドソールや、湾曲させたカーボンファイバープレートを挟み込み、ミッドソールの空洞構造との相乗効果で最大限のエネルギーリターンを生み出す仕組みの“エナジーアーク”が連動し、さらなる前への推進力を実現。

「アンダーアーマー」
前回着用者:1人(0.4%)
注目モデル:“ベロシティ エリート2”

トレーニングウエアの印象が強い「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」だが、近年はシューズ着用者を街でもよく見掛ける。箱根では、23年、24年と連続で着用選手が出た。

注目モデルは“ベロシティ エリート2”(2万6400円)。前モデルと比べて、カーボンプレートの厚みを増して1.2ミリとし、セッティングも変更した。前足部のソールの厚みも20%以上増量している。

「ブルックス」
前回着用者:1人(0.4%)
注目モデル:“ハイペリオン エリート 4 PB”

米国のランニング専門店での卸売り上げシェア1位を誇り、米国の市民ランナーから支持が厚い「ブルックス」。箱根では24年に初めて着用者が出た。果たして2年連続となるか。

注目モデル“ハイペリオン エリート 4 PB”(3万5200円)は、箱根の翌日の1月4日に限定発売予定。既存モデルの“ハイペリオン エリート 4”を進化させてカーボンプレートを搭載し、ミッドソールのフォーム材には新たに“DNAゴールド”を採用。ブランド史上最も柔らかくて、高いエネルギーリターンを提供する。モデル名のPBはパーソナルベストの意。

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