ファッション

1万5000円のチケットが1分で即完 「アンジェリックプリティ」のショーに集まったロリィタ服愛好家をキャッチ

「アンジェリックプリティ(ANGELICPRETTY)」はこのほど、大手町三井ホールで2025年春コレクションをショー形式で発表した。モデルの中村里砂や加藤ナナ、⻘木美沙子らが着こなす51ルックに、会場に集まった200人以上のロリィタファッション愛好家はうっとりとした眼差しを向けた。

シーズンテーマは「ドールハウス」で、全51ルックを発表した。ブランドのアイコンカラーであるピンクを全面に打ち出しつつ、ミントグリーンやイエローなどのアクセントカラーを用いる。定番のケーキやビスケットといったスイーツ柄、オリジナルキャラクターの「リリカルバニー」「はにかみベアー」柄など、オリジナルプリントを用いた新作7シリーズのほか、ハローキティ、リトルツインスターズ、シナモンロールというサンリオの人気キャラクターとコラボレーションしたドレスも登場した。

印象的だったのは、観客のブランドへの愛が非常に深いこと。例えば、モデルがステージの裾から歩き始めて間もないにもかかわらず、それがリバイバルアイテムであると察知した瞬間、会場全体から歓声が湧き上がった。09年発表のハローキティコラボアイテムや、約10年前に発売した“Dear Princess〜乙女のワードローブ〜”というプリンセススタイルを提案するシリーズ、猫柄の“ドーリーキャット”シリーズなどに対し、ゲストは両手で口を押さえて驚いた様子を見せたり、小さく拍手をしたり、頷きながら鑑賞したり。同ブランドで長年デザイナーを務めるASUKAは、「今季は『アンジェリックプリティ』の原点に立ち返りつつ、ブランド立ち上げ当時よりも幅広い素材を使用しながら、アーカイブ作品を可能な限り再現した」と話した。

「アンジェリックプリティ」は1979年にオープンのセレクトショップ「プリティ」を前身として、2000年にスタートした。約20年という歴史の中で、ファッションショーがメインのイベントを開き始めたのはここ数年のことだ。ロリィタファッション愛好家の文化の一つに、ロリィタファッションをまとってカフェタイムを楽しむ「お茶会」があり、同ブランドもホテルなどを貸し切って同様のイベントを開いてきたが、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大によってオンラインで開催せざるをえなくなった。そこでランウエイショーの動画を流し、新作発表の場にしたことから、現在のような形が出来上がったという。例年チケットは争奪戦であり、今年は1万5000円という決して安くはない価格にもかかわらず、公式サイトで発売したところわずか1分で完売した。

ショー来場者たちをキャッチ!

この日のドレスコードは、“特別な日にふさわしい「アンジェリックプリティ」コーデ”。クラシックロリータや甘ロリータなど、思い思いのスタイルをまとった来場者たちは、ショーが終わると新作アイテムが展示された別会場に移動し、撮影会を楽しんだ。日本人だけでなく、中国やアメリカからやってきた愛好家も多く、国際交流を深め合う場面もあった。参加者の1人のまいこさんは、「ロリィタは互いのファッションを褒めるカルチャーがあり、それがすごくすてき」と笑顔を見せた。

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