アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。スニーカー業界の2024年は、はっきりと明暗が分かれた1年だった。リベンジ消費やインバウンド需要復活の期待に応え、アシックスやABCマートが次々と好調な話題を提供。一方で、これまで“投機対象”とされたスニーカーは二次流通市場で定価割れが目立ち、盛り上がりに欠ける印象があった。ここで一つの疑問が浮かび上がる──あれほどたくさんいたスニーカー転売ヤーは、一体どこに消えたのか?今回は、転売ヤーの今について。(この記事は「WWDJAPAN」2024年12月30日・2025年1月6日合併号からの抜粋です)
──少し離れたところから見た2024年のスニーカー業界はどうでしたか?
本明秀文(以下、本明):今年は日本人が買い物をしなくなった、これに尽きる。インバウンドに人気がある「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」「アシックス(ASICS)」「オン(ON)」みたいな“インバウンド銘柄”しか売れていない。コロナの反動でECの売り上げが下がり、代わりに店舗の売り上げが上がれば、店舗が多いところが確実に勝つ。メーカーはとにかく在庫をさばくためにチェーン店に特価で卸し、結果的に日本のスニーカー業界はABCマートの一人勝ちだった。インターネットの利便性だけじゃなく体験を売って、エクスクルーシブだけを作っていくのが今のトレンドだね。株価の値上がり率がすごい中国のポップマートの自動販売機(世界で2500台以上稼働)もその威力を物語っている。
──“エクスクルーシブ”というと?
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