凱旋門近くのサル・ワグラムで発表された「ジャンポール・ゴルチエ」。内装、外装ともにリニューアルされたこのサル・ワグラムは、かつて高田賢三、ソニア・リキエル、ドロテビスなどが70年代初頭のプレタポルテ黎明期にショーを発表したパリコレの聖地。ゴルチエも80年代から90年代にかけて、この会場で伝説のコレクションを数多く発表してきた。会場の座席には、BPI(ボーテ・プレステージ・インターナショナル)とのライセンス事業で今年20周年を迎えた「ジャンポール・ゴルチエ パルファム」のアニバーサリーモデルがギフトとして置かれていた。
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黒枠に赤いブランドロゴを配したロシア・アヴァンギャルド風のバックドロップに、モデルたちの影が浮かび、ショーがスタート。このモチーフは今季のコレクションでプリントとしても使われている。スタッズを打った黒やボルドーのレザー・ビスチエ、踝まで隠れそうなミリタリー風ロングコート、インターシャで配されたボーダー柄、サガ・ファーとの提携によるボリューミィな毛皮使いと、全体的な印象としては全盛期の「ゴルチエ」スタイルを忠実に踏襲。
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ショーの演出自体も、会場の観客が醸しだす雰囲気も、時間が止まったように80年代のムードが漂う。ゴルチエにとってそれが確信犯的に狙ったものなのか、それともこの様式美に固執した時代とのズレなのかは判らない。ただ全体的に言えることだが、70年代から80年代にかけて確立された旧来のファッションショーというシステムが大きな岐路に立っていることは間違いない。そんなことを考えさせられるコレクションではあった。
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