国際的な繊維機械の見本市「JIAM(国際アパレル機器&繊維産業見本市)」が4月6〜9日、インテックス大阪で開催された。日本の繊維機械メーカーはJUKIやブラザー(ともにミシン)、島精機製作所(横編み機)など世界トップ企業が多く、最先端の動向をつかもうと、4日間で約1万5000人が訪れた。
今回の「JIAM」で注目を集めたのが、ITと融合した繊維機械のデジタル化だ。世界180カ国に出荷先を持つミシン大手のJUKIは"スマート ファクトリー"と銘打ち、タブレットで設定を変えられる自動ミシンと効率的なレイアウトを組み合わせ、生産性を大幅に高めるシステムを提案。同社の杉山博治JUKIシンガポール部長代理は、「1分間に3000〜5000回も針が上下する本縫いミシンはこれまで、デジタル化が難しく、縫い方や布送りなどは機械をエンジニアが手動で変更していた。世界で最も先進的な縫製のシステムを持っていると言われるスリランカでも、エンジニアの人手不足が発生しており、デジタル化が不可避になっていた」という。その他にも針をつけたロボットアームが縦横に動き、凹凸のある部品も自在に縫製できる新製品を披露した。
ニット機大手の島精機も、デスクトップによるアパレルデザインシステムを出品したほか、刺しゅう用ミシンで世界トップシェアを持つタジマは、大型ショッピングセンター(SC)向けに、大型ディスプレーを活用したパーソナルオーダーシステムを提案した。「米国の大型SCでは必ずと言っていいほど刺しゅう機が置いてあり、個人向けに帽子やバッグへの刺しゅうオーダーサービスが盛んに行われている。大型ディスプレーから機械、システムまでをセットでリースするサービスを今年中にはリリースしたい」と同社広報。
バーチャル試着システムやテキスタイルの3次元シミュレーションサービスを開発してきたデジタルファッションの森田修史・社長は、「テクノロジーの発展により、B to B(Business to Business=企業間取引)から、ネットやデジタルと融合したマス・カスタマイゼーション技術を駆使して機械メーカーや工場が消費者とダイレクトに繋がった"B to I"(Business to Individual=企業から個人)へと変貌しようとしている」と指摘している。
横山泰明