三越伊勢丹ホールディングスの婦人靴PB「ナンバートゥエンティワン(NUMBER TWENTY-ONE)」は1月22〜25日まで、パリで開催されたアクセサリーの合同展示会「プルミエールクラス」に海外初出展した。同社が2015年から掲げる企業メッセージ「this is japan」の一環として、世界に通じる日本の良さを発信していく。
同展示会では「イセタン シューズ」という名称で売り込み、約200型を展示。「ファセッタズム(FACETASM)」や「チノ(CINOH)」「ニューニュー(NEWNEU.)」など、東京6ブランドとのコラボレーションシューズの他、東レのウルトラスエードやクラレのクラリーノなどの素材を使用した新ライン、トレンドを盛り込んだPB商品をそろえた。すでに昨年2月には、韓国の新世界百貨店への卸売りをスタートしているが、今季からサイズ展開を25.5センチまで広げ、ヨーロッパ圏のバイヤーにもアプローチ。PBブランドの海外卸売りを本格化することで、新たな収益のひとつにしていく。
数ある海外合同展から「プルミエールクラス」に出展した理由について、「現地でのネットワークが強く、アパレル合同展『フーズ ネクスト』が期間中に同じ会場で行われているなど、ファッションとのつながりもある」と同ブランドを手掛ける宗友良諭バイヤー。輸出により上代価格は上がるが、海外での知名度を上げることで、インバウンド客に日本で購入したときのお得感を感じてもらうことも狙いだ。さらに「伊勢丹を知らない海外バイヤーが意外に多いため、ブランドのホームページを開設するなどの施策も行いたい」という。現在は、国内生産のシューズが大半を占めるが、将来的にはイタリア生産なども増やし、ヨーロッパ圏に生産と卸しの仕組み作ることで、価格にも反映していく。バッグなど雑貨のカテゴリーも広げる意向だ。また、「ナンバートゥエンティワン」は、「ヌメロ ヴェントゥーノ(N˚21)」と名前が似ていることで海外での商標が取れなかったため、今回は「イセタン シューズ」の名称で出展。今後、海外名称を変更するなどで対応予定だ。
現在、伊勢丹新宿店の婦人靴売り場の平均客単価は、1万4000〜1万7000円。「ナンバートゥエンティワン」の売り上げ金額は「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」に次ぐ2位で、足数は1位に成長している。11年のブランドスタート時は、パンプスがメーンだったが、スニーカーなどのカジュアルシューズも徐々にラインアップ。15年秋冬には、東京デザイナーとのコラボレーションもスタートし、インディペンデントなデザイナーには参入障壁の高いシューズを制作することで、ブランドの世界観アップにもつながっている。