テーマは「見立て」。本来別の用途で用いるモノに、新しい使い方を見いだすことで斬新な美を創り出す、日本独自の美意識に着想を得た。ベルベットが剥げたソファーの雰囲気をリネンで表現したり、ストローマットのハリ感を和紙で表現したりするなど、本来洋服の生地では無いモノを着心地が良い素材で作り替え、洋服に落とし込んだ。長着やシンプルなカッティングのシャツなど中性的な印象も強い「マトフ」だが、淡い色彩のプリントにシワ加工を施したプリーツスカートや丸みのあるカッティングで背中にドレープを付けたツイードのジャケットなど、より女性的な印象。インパクトのあるボリューミィなロープのアクセサリーは、ブラジル人アーティストのクラウディア・サヴィッリが手掛けた。スタイリングに関しても、「今シーズンは、ファッションショーではなく、アートインスタレーションのように表現したかったので、柄×柄や素材×素材など、春夏だけどあえて過激なレイヤードにした。いつもの引き算ではなく、足し算で物事を考えた」と堀畑裕之デザイナー。さらにタコ糸とネットで作ったマユのようなヘッドピースで、時を経たホウズキの実を表現した。