パリメンズ初日のハイライト、「ラフ・シモンズ」のコレクションは、メンズとウィメンズの境界線が極めて曖昧なスタイル「クロスジェンダー」のトレンドを決定づけた。
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今シーズンの「ラフ・シモンズ」は、メンズの"ワンピース"からスタート。いや、これは正確に言えば、ジャージーのような素材で作ったオール・イン・ワン。下半身が「股下は深いのに、スーパーミニ丈」ゆえ、結果ミニスカートのように見えてしまうアイテムだ。1年前はマニッシュなチェスターコートの後ろ身頃を花柄で切り返したり、スーツ地で作ったショートパンツに太ももを露わにする深いスリットを加えたり、特に春夏は"ジェンダーレス"なスーツを提案してきたラフによるメンズのドレスコードは、ついにワンピースさえ、ある程度リアルに見せるまでに到達した。"ワンピース"がリアルに見えてしまうのは、美しいパターン&カッティングワークのおかげに他ならない。「ラフ」のワンピースを見てしまうと、「J.W.アンダーソン」のホルターネックやオーガンジーのトップスは、荒削りゆえ、アヴァンギャルドにまとめるしかなかった若手デザイナーの限界点を感じさせる。
また、今シーズンのジャケットは、ウエストをかなり高い位置で切り返し、裾に向かって徐々に広がっている。これは、ドレスの中でも最も女子的なベビードールドレスのようなフォルム。特にひざ上に迫るロング丈のジャケットは、下半分が完全にスカートの雰囲気だ。
その他のアイテムは、毒気のあるトロピカルを提案した「プラダ」同様、「共感させるのは容易なハズなのに、敢えて挑発している」ようなアイテムだ。カラフルでアーティスティック、たとえば白黒のボーダーの上に絵の具がチューブから飛び出ている様子や、水玉の海の中に水泳選手がダイブする瞬間などをプリントしたムース素材のトップスは、それだけならポップでキャッチーなハズなのに「SUPER NYLON(超ナイロン)」とか「ARTIFICIAL FLAVOR(人工的な味付け)」などの言葉をのせてしまうせいで、一瞬「えっ!?」っと手に取るのを躊躇してしまうようなアイテム。
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