ロンドンからスタートした2014年春夏メンズのトレンドアイテムの筆頭は、スイングトップだ。ドリズラーとも呼ばれるこのアイテムは、いわゆる「ジャンパー」のこと。特に今シーズンは、後ろ身頃で生地を寄せ、全体をふんわりとしたバルーンシルエットに仕上げるブランドが数多い。「ディオール オム」もまた、そんなブランドの代表例だ。しかし、その仕上げ方が、ほかのブランドとはまるで異なっている。
いわゆる普通のジャンパーだから、他のブランドでは、肩周りに特別の工夫を加えているブランドはそれほどない。しいて言えば、それをラグランスリーブで作るか、それともドロップショルダーで仕上げるか、ふんわりした全体のフォルムを強調すべく、肩口さえユルく作ろうと試みているブランドがほとんどだ。しかし、「ディオール オム」は、そんなスイングトップの肩口を、スーツと同じく芯地を入れ、丁寧に形成。スイングトップとジャケットの中間に位置するようなアイテムも提案した。ネオプレンで作ったスウェットも、肩口はスーツと同じ作り方。バウハウス的なモダンアートの雰囲気を感じさせる、同系色のカラーパレットで構成するカラーブロッキングなどを盛り込みつつ、クチュールブランドとしてのプライドと、さらには最近「ユニフォーム性」を極めようとミニマルな洋服の細部にこそこだわるクリス・ヴァン・アッシュの美学が見て取れる。
【コレクションの全ルックはコチラ】