メンズとウィメンズという2つの世界の双方を股にかけるスタイル「クロス ジェンダー」が台頭する中、「トム ブラウン ニューヨーク」はそんなトレンドを不条理な世界観で表現した。
今シーズンのイメージソースは、ボーイ・ジョージのよう。登場したモデルは顔は白塗り。そこに深紅のリップを引いてランウェイに現れる。そして、そんな彼らが身に付けているのは、本来なら男クサいハズの海軍の将軍ルック。ただ、ジェネラルコートは、背面をグログランのリボンでギュっと絞り、まるでコルセットを内蔵しているかのようなシルエット。ウエストから下は急速に広がるAラインを描くため、ミリタリーコートはもはやフィット&フレアなシルエットのドレスのようだ。
ディテールは、さらにフェミニンテイスト全開だ。洋服全体をアンカー(錨)モチーフのレースで覆ってしまったり、コートのエポーレットはグログランのリボンを丁寧に折り畳むことで形成。まるでフリルのように見える。そしてフレア気味のシルエットを描くひざ下丈のショーツには、たっぷりのパニエ。本来ならスカートの下に差し込まれる、ボリュームを加えるためのアイテムをプラスした。マスキュリンなアイテムにフェミニンなディテールを加え、そこにボーイ・ジョージを思わせるフェティッシュなテイストをエナメルコーティングを加えたかのような素材感で描く。いつも通りアンリアルなコレクションだが、今シーズンのメッセージはトレンドを突いている。
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