これまで有名無名問わず、数多くのコラボレーションをしてきた「マスターマインド・ジャパン」。7月3日から伊勢丹新宿店本館1階ザ・ステージで始まった「アディダス オリジナルス バイ マスターマインド・ジャパン」では、5日時点ですでに完売するモデルが相次ぐなど、未だ人気は留まることを知らない。そこで、「アディダス オリジナルス」とのエピソードを始め、本間正章デザイナーにとってコラボレーションとは何かを聞いた。
"コラボレーションの企画は「1パッケージ=1デザイン」なのが特徴"
WWD:コラボレーション相手を決める上で大切にしていることは?
本間:熱意や人柄をみて「終わった後、一緒に気分良く笑えるか」を考えている。結果的に2回、3回とシリーズ化するケースもあるが、基本は単発企画のつもりで全力で取り組むように意識している。だから、店頭に出るまで不安で仕方ないので、お客さまが試着したり喜んでいる姿をチェックする。
WWD:コラボレーションにおけるビジネスはどう考えているか?
本間:コラボレーションだからと言って、限定数を絞る考えは持っていない。事実、生産数量はコラボレーション企画より「マスターマインド・ジャパン」の方が圧倒的に少ない。また、「マスターマインド・ジャパン」は世界で20ヵ国で販売しているが、今回のような世界50ヵ国で販売するワールドワイドな企画は販路拡大に繋がった。
WWD:「アディダス オリジナルス」とは2回目だったが?
本間:「いつか一緒に仕事をしてみたい」という企業でも、やってみるとガッカリすることもあるが、アディダスはさまざまな国のデザイナーや異分野とコラボレーションしている企業ということもあって、早い段階から僕らのスケジュールやファンのことを考えて気遣いしてくれた。ファンからは1回目のコラボレーションよりシビアに見られると思ったので、より喜んでもらえるよう、色々な年代の代表作から選んだ「ベスト オブ アディダス」のアイデアに行き着いた。
WWD:モノトーンで統一したデザインが特徴だが、コラボレーションにおいても揺るぎない色なのか?
本間:色はコラボレーションによって変わる。業界全体が色を使うのがトレンドになっているから、あえて黒をメインにした。また、さまざまな年代の代表作を使うこともあって、今回はパッケージとして統一感を出す狙いもあった。
WWD:「ベスト オブ アディダス」の基準は?
本間:「スーパースター」のように学生時代に履いていたモノから、当時は高くて買えなかった憧れのモノまで、定番アイテムにどう「マスターマインド・ジャパン」らしさをプラスできるかを考えた。
WWD:今回のコラボレーションで特に思い入れがあるアイテムは?
本間:よく聞かれるが、基本は何か一つにフォーカスするのではなく、パッケージのバランスを考えている。だから、コラボレーションの企画は「1パッケージ=1デザイン」なのが特徴。アイテムの売れ方も、偏りなく売れている。
WWD:2013年春夏コレクションを最後にブランドを休止して、意識は変わったか?
本間:「コレクションが終わったら暇になるかな」と思ったら、嬉しいことに色々なオファーをもらって忙しさが増した(笑)。唐突な案件もあったりするが、取り組み方や意識は変わらない。
WWD:ファッション業界では2000年代からコラボレーションが活性化しているが、今後はどのようになっていくと考えているか?
本間:きっとなくなることはないし、もっと企画は増えていく気がする。ただ話題作りのために行なうコラボレーションは、僕らが思っている以上に、お客さまから淘汰されると感じる。今後のファッション業界は、より一層双方の特性を活かした、お客さまから認められるコラボレーションが必要だ。
WWD:ブランド活動の終わりが近づいているが、今後の個人活動の予定は?
本間:まだ進行中の企画もあって、業界から離れるか否かなど終わってからのことを考える余裕がない。一つひとつ最後まで全力で取り組んでから考えたいけど、終わったらボケるんじゃないか不安(笑)。