「ディオール オム(DIOR HOMME)」から2つのニュースが飛び込んできた。1つは2014年春から、プレに相当するコレクションを発展・独立させ、スプリングとオータムと名付けて発表&販売すること。これに対して、パリメンズの期間中に発表するコレクションは、サマーとウィンターと呼称する。そして2つ目は10月12日、表参道の旗艦店のメンズフロア「ディオール オム表参道ブティック」をリニューアルオープンしたこと。ガラスのような什器に光を放つ壁や床で構成したフロアは、奇しくも「ミニマル バロック」と銘打ち、光沢素材のハイブリッドなどで光が乱反射する様子を表現した、今年6月発表の14年夏コレクションのようだ。しかし当日は、「ミニマル バロック」とは全く別のストーリーを有する、14年春コレクションを世界に先駆けてお披露目し、リニューアルをお祝い。アーティスティック・ディレクターのクリス・ヴァン・アッシュも来日した。
新たに2つ、ランウェイで発表するコレクションとは別のストーリーを用意することに対してクリスは、「ブランドが育つにつれ、顧客からの要求が増えてきた。13-14年ウィンター(これまで13-14年秋冬と呼ばれたパリで発表したコレクション)は、厳格で冷たい印象さえ放つから、一転したポジティブでサニーな洋服を作りたかった」とコメント。マイアミのアートバーゼルを訪れたクリスは、カジュアルなビーチがある一方で、ゲストはエキシビションやパーティにはフォーマルなタキシードで出席する。そんな対照的な光景に刺激を受け、彼の「ディオール オム」には相当新鮮なアブストラクトペイントをのせたような、ヴィヴィッドな色に溢れるコレクションを生み出した。
とは言え、14年春コレクションもフォーマル主体のエレガンスに溢れるコレクションだ。インタビューの最中、クリスはファッション好きな若い男性のことをしきりに口にし、「新作が、彼らがドレスアップを楽しむきっかけになればと思う」と話す。新たなコレクションは、顧客層の拡大にもつながりそうだ。
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