9月6日から、伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローランのキャリアと人生を描いた映画「イヴ・サンローラン」が角川シネマ有楽町などで公開される。ロードショーを控え、主役のムッシュ・サンローラン役を演じた仏俳優のピエール・ニネが初来日した。
ストーリーは、中流階級の家庭に育ったサンローラン少年が部屋でデザイン画を描くシーンからスタートする。1957年にクリスチャン・ディオールが死去し、21歳だったサンローランは「ディオール」の後継デザイナーとして指名された。その後、26歳で自らの名前を冠したブランド「イヴ・サンローラン」を立ち上げ、"スモーキングスーツ"や"モンドリアン・ルック""サファリ・スーツ"など革命的なスタイルを発表してきた彼の軌跡を辿っている。また、生涯サンローランのパートナーとして彼を支えた実業家、ピエール・ベルジェとの出会いや恋愛、孤独とプレッシャーに苦しみ薬物やアルコールに依存する姿を細部まで描写している。衣装や小道具の一部をイヴ・サンローラン財団所有のアーカイブから使用したブランド初公認の伝記映画だ。
ニネの演技は、ベルジェに「本人じゃないかと思い、動揺して混乱した」と言わしめたほど。"生き写し"とも表現され、サンローランを熱演した彼に、サンローランの印象や役作りについて話を聞いた。
(9月初旬に発売するWWDジャパンで詳細インタビューを掲載予定)
ーーサンローランを演じてみて、映画を撮る前と後の印象は?
彼については、メガネをかけているということや独特のシルエットを創ったということ、完璧主義者だったということしか(演じる前は)知りませんでした。この役を演じるために5ヶ月の準備期間を設け、彼について勉強しました。その中で、彼のクリエーションや生き方に感動を覚え、"モード"を理解できるようになりました。
ーー彼の心情やパーソナルな部分にフォーカスした作品に仕上がっていますが、繊細の彼を演じるための役作りはどのように行なったのですか?
この役を演じるにあたって難しかったことが2つありました。1つ目は歳をとらなければならなかったこと。当時24歳だった私にとって、晩年の46歳までを演じることは大きなチャレンジでした。年齢にあった言葉のリズムや身体の動きを表現するために、監督と話し合い、研究して何度もテストしました。2つ目は、サンローランが22歳の頃に躁うつ病であると診断された時の苦悩を演じるということ。彼の人生に大きな影響を与えたこの病を表現するために、躁うつ病に関係するさまざまなドキュメンタリーを観たり、ベルジェに話を聞いたりして、症状を徹底的にリサーチしました。この映画を創るにあたり、ベルジェ本人に話が聞けたということは、私たちにとってとても貴重なことでした。
ーーファッションについてお伺いします。普段はどのようなスタイルに興味をもっていますか?また、好きなブランドがあれば教えてください。
この映画を撮影する前と後ではファッションに対する考えが変わりました。エディ・スリマンに「サンローラン」のショーのバックテージを見学させてもらい、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」など多くのメゾンを研究し、ファッションに興味を持つようになりました。個人的に好きなのは「ディオール オム(DIOR HOMME)」「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」やカジュアルブランドであれば、「ザ・クープルス(THE KOOPLES)」です。
今日も履いている「クリスチャン ルブタン」はメンズがあることを知らなかったのですが、この映画を機にいろいろと発見し、好きになりました。だけど、ひとつのブランドに固執するわけでなく、シックなスーツに「ナイキ(NIKE)」のバスケットシューズを合わせたりと、ミックスコーディネートを楽しんでいます。