マルタン・マルジェラの短編ドキュメンタリー映画「ザ・アーティスト・イズ・アブセント」が2015年トライベッカ映画祭で上映された。アリソン・チャーニックが監督を務め、ユークス・グループが製作した。
10分強の映像の中には、彼がアントワープ王立芸術学院で過ごした日々から09年に自身のブランド「メゾン マルタン マルジェラ」を去るまでのデザイナー人生が描かれている。
謎に包まれたデザイナーとして有名なマルジェラは同作品にも直接登場しないが、ランウエイの映像や親しい人たちのインタビューが彼の姿を映し出している。「マルジェラはすぐOKサインを出してくれた。私にはそれで十分だった」とチャーニック監督は話す。インタビューにはラフ・シモンズやジャンポール・ゴルチエ、キュレーターのオリヴイエ・サイヤール、スージー・メンケスらが登場する。
映画には、マルジェラの母親がかつてビンテージ家具を買っては分解していたことが明かされるなど、マルジェラ特有のアバンギャルドなセンスのルーツが垣間見えるシーンも。チャーニック監督は彼の沈黙に関して、「沈黙がストーリーを生み出し、彼の作品にも新たな面を加える」と語る。