パリメンズの開幕日、コレクション発表の場をフィレンツェからパリに移した「ヴァレンティノ」が、現段階で今シーズンナンバーワンの卓越したコレクションを披露した。
ベースはあくまで、クラシックなサルトリア。プリンス・オブ・ウェールズやタータンチェック、ハウンドトゥース(千鳥格子)など、英国由来のチェック柄を多用するあたりは、これまでのロンドンやフィレンツェ、ミラノ勢とほぼ足並みをそろえている。
ただ、このブランドがすぐれていたのは、抑制の効いた“こなし方”。たとえば深いインディゴブルーのデニムで完璧なまでのサルトリアスーツを作ったり、プリンス・オブ・ウェールズの上にハウンドトゥースをプリントしてラグランのコートやポンチョに仕上げたり、デニムの上にタータンチェックをのせてジャケットに仕上げてみたり。クラシックなシルエットやモチーフを尊重しつつ、そこに程よいコンテンポラリーなアイデアを加え、結果ファッショニスタにも最新トレンドはよくわからない富裕層にも「カッコいい」と思える洋服に仕上げている。トレンドとなっている「完璧なVゾーンの提案」も、アスコットタイ調のショールをVゾーンに添えるなどしっかり工夫。得意のカモフラは、黒を基調とするダークトーンとなり、ますますシックになった。