昨年は日本でも話題となった“幸せの国”、ブータン。2013-14年秋冬シーズン、「ルイ・ヴィトン」のメンズを担当するキム・ジョーンズは、雪山に囲まれ、動物たちと同居し、家族や信仰を大切にする国に思いを馳せた。
ベースは、ミディアムグレーを中心とするセットアップ。随所にブータンの古い町並みや、冬の空を思わせるくすんだブルーのチェック柄などを加えているが、トレンドに呼応するかのように、シルエットは端正でシャープ。ストリート世代ながらラグジュアリーブランドで働くキムにとって、デビュー当時から大きな課題だったスーツの提案は、確実に完成度を増している。
そこに加えたのは、ニードルパンチでレオパードを描いたビッグコート。カシミヤやミンクなど、「ルイ・ヴィトン」ならではの上質な素材にこの柄を同系色で控えめにのせて、男前なスーツだけでは表現しきれないキャッチーな要素を盛り込んでいる。中盤は、たっぷりのボアを使った、どんな雪山でも耐えられそうなポッカポカのビッグコート。ボアはバッグにも用いられた。
終盤は、ブータンで古くから崇拝されているであろう信仰に基づいた、極彩色の民俗画を織りで描いたジャケットやコート、ナイトガウンなどのイヴニング。序盤ではシャープなスーツで緊張感あるモードを、中盤のアウトドアスタイルではボアで“ほっこり”感を、そして終盤のイヴニングでは(正直モチーフそのものは正直不気味なのだが)カラフルなハピネスを振り撒いた。洋服はもちろん、ショーの完成度が極めて高い。
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