ラフ・シモンズがクリエイティブ・ディレクターに着任して2シーズン目を迎えた「クリスチャン ディオール」のオートクチュールコレクション。草木が萌える緑の小道と、葉を枯らせた樹木がそびえ立つ会場に登場したのは、ビジューやスパンコール、ビーズによる繊細な小花が散りばめられたドレスを身にまとったモデルたちだ。壁一面を豪華に生花で覆い尽くした先シーズンに続き、ムッシュ・ディオールの花への愛着を表現。ラフが今季描いたのは、四季の流れからインスパイアを受けた、草木や花々が寒い冬を乗り越え芽吹く春の訪れだった。
チュールの繊細な花びらを全体にあしらったエンパイアシルエットのドレスや、背面にボリュームを持たせ、つぼみのような形をとったシフォンのバルーンワンピース。柔らかならせん状が独特なカッティングのビスチェドレスは、ひざから大きくフレアが広がり、つぼみが花開いている最中のよう。ペールピンクやオレンジ、アプリコットで細かく刺繍された小花柄がいたるところに見え隠れするなど、さまざまなモチーフの“ディオール・フラワー”たちが溢れた。ウエストマークを強調しつつ丸みを帯びたシルエットは「クリスチャン ディオール」の女性らしいエレガンスを感じさせ、前回よりもいっそう洗練された印象だ。