「メゾン マルタン マルジェラ」のオートクチュールに相当する、アーティザナルラインは今後、クチュール・コレクションの期間中にしっかりランウェイショーを開催。これまでは、リサイクル素材を重用した実験的クリエイションの趣が強かったが、今後は「売る」ことも念頭に置いて創作活動に励むという。確かに、今シーズンのコレクション全19体は、コマーシャルなピースが数多くを占めている。
今シーズンは1920年代のフラッパー、つまり、20世紀最初のバブル景気を自由奔放に楽しむため、締め付けられるばかりの洋服から解放された女性たちの姿を描いているようだ。基本は素材の“落ち感”を楽しむストンとしたIライン。クラシックなトレンチコートやウィンドブレーカーの上にドッキングしたフラッパードレスには、エスニック調のビーズ刺しゅう。一方、真っ白なコットンで作ったシガレットラインのドレスは、真っ黒に塗りつぶし、漆黒のテーラードジャケットにしている。このペイントというアイデアは、黒と白のビーズワークでも表現。20年代のフローラルモチーフを表現したビーズワークと組み合わせ、ボートネックのドレスなどにアレンジした。
これまで通りの、より実験的なリサイクル素材のコレクションでは、キャンディの包み紙を使用。Aラインのドレスからビスチェにクルクル丸めたキャンディの包み紙を縫い付けギラギラに光るイヴニングウエアにしている。