会場に入ると、そこには冬の森林が広がる雪景色を彷彿とさせるステージが用意されている。今シーズンは、いつもに比べるとロマンティックな静けさが漂うコレクションだ。
洋服は、「マルニ」が得意とする直線的なカッティングにプラスしたボリューミーなファー使いが印象的。スカートのヘムに添えたビーバーの毛皮を始め、ストールやジャケットの襟、袖部分に用いることで、シルエットにメリハリをつけただけではなく、モノクロマティックなコレクションの差し色としても活躍した。特に前半では、オールブラックやチャコールグレーのワンピースやパンツルックに合わせたカラーストールが存在感を放っていた。また、中盤は、今シーズン浮上しそうなトレンドに呼応したアイテムが登場。そのラインアップは、ノースリーブのベスト風コートや、ベルベットとレザーをボンディングしたオーバーサイズのジャケット、オーガンザを挟んだプリーツスカートなど。さらに後半は、枝や草木をプリントしたワンピースに、ケープを合わせたエレガントなスタイリングが目立った。
ダークトーンでまとめあげ、シックでクールなイメージを醸し出したコレクションのメイクアップを担当したのは、トム・ペシュー=メイクアップ・アーティスト。唇のアウトラインを完全に無視し、真っ赤なリップを大胆にのせた。「デザイナーのコンスエロ・カステリオーニが生みだしたのは、自然体が美しい女性像。透き通るような肌に真っ赤なリップカラーをのせてから、リップラインからはみ出るように綿ボウでわざとぼかした。ベースメイクも洋服も美しいからこそ、リップで崩すことができる」と語った。また、アンドロジナスなヘアを手掛けたポール・ハンロン=ヘア・アーティストは、「ランウェイはまるで広大な原始林。モデルはそこを歩くのだから、髪は少し顔にピタッとつくぐらいのウェットな質感にして、無造作ヘアを作った。ブラシは一切使わず、指先でバランスを整えた」と話した。
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