2年ぶりにランウェイショーを開催した「アンダーカバー」。ロンドンの「トム フォード」もそうだったが、久しぶりにショーを開くと並々ならぬ気合いが入るものらしい。近年の異素材をハイブリッドして作るコンフォート路線から一転、コレクションには渾身の力作が勢揃いした。
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今シーズンは、シュールレアリズムが1つのキーアイデア。冒頭は、ラグランスリーブでボリュームシルエットのレザーコート。そこに唇と目のプリントを加え、さらに目のプリントにはハトメ(鳩目)をあしらった。
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コレクションは、徐々に「アンダーカバー」らしいダークファンタジーの色合いを強めていく。バルーンスカートのワンピースには、肩口にチュールの花をあしらったが、そこから垂れ下がったチュールはクシャクシャに丸められ、まるで内蔵の腸のよう。ナポレオンジャケットは、飾り紐で描く胸回りの模様が肋骨のよう。何個ものシャツの台襟を集め、それで肋骨模様を描いたシャツもある。ここでベビードールドレスやネグリジェなどのガーリーなウエアに、内蔵モチーフを加えるのが今回のコレクションのキモだと気づく。
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より売りやすそうな洋服は、たとえば胸元を心臓の形に切り抜き、そこにレースを差し込んだコットンシャツ、臓器モチーフを編み込んで骨を模したネックストラップをあしらったニットのネグリジェ風ドレスなど。コルセットやレザーライダースを脱構築した洋服は新鮮味に欠けたが、シュールレアリズムの内蔵ドレスとともに、コンフォートとは明らかに異なる、新たな方向性を指し示している。
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