これまでロンドンでコレクションを発表していた「アクネ ストゥディオス」(以下「アクネ」)が、パリコレにやって来た。しかも舞台はいきなり、パリコレの聖地とも言えるグラン・パレだ。
だからこそ、今シーズンはパリのモード&コスチューム博物館と、アーティストのカテリーナ・ジェブとコラボレーション。カテリーナが博物館収蔵のヴィンテージ生地をスキャンし、そこから生み出した作品を外側に透けるようにシルクのドレスの内側にプリントして、「本来は見えないモノを明らかにする」というテーマにアプローチしようとしている。
が、パリコレにやってきたのだから、そろそろしっかり言っておきたい。この唐突にしか思えないコンセプチュアル加減が、コレクションピースにおける「アクネ」の弱点だ。
確かに、ヴィジュアルブックの「アクネ ペーパーズ」なども作っているクリエイティブ集団は、アートに造詣が深いのだろう。しかし、毎回のコンセプチュアルなテーマは、ディレクターのジョニー・ヨハンソンが心の底からアプローチしたいと願うテーマなのだろうか?コンセプチュアルになろうとするあまり、"知っている"感を出そうとするあまり、無理をしてはいないだろうか?
「アクネ」の魅力は、あくまで「カルヴェン」や「ケンゾー」「イザベル マラン」「サカイ」などに通じる、気の利いたリアルだ。それならばコレクションは、そんなリアルが共感できそうなシーンを設定すべきだし、リアルに帰結するデザイナー自身のライフスタイルを垣間見させるものにすべきだろう。現に上述した他のブランドは、デザイナーの等身大の日常を具体的に表現し、そんなシーンに着たい洋服を提案している。だからこそ、発表する洋服はほとんどすべてが実際に販売する商品だ。
なのに「アクネ」は、コレクションブランドというカテゴリーに属したいがために、無理矢理カッコつけている感がして否めない。だからこそ、コレクションはピンと来ないし、なにより実際販売するコマーシャルラインとの解離が大きすぎる。
せっかくパリに来てくれたのだから、改めて「アクネ」には、本当に着たかった洋服をファンタジックに表現する方法を見いだしてほしい。それがパリで「商品」を発表するコンテンポラリーブランドの役割だ。
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