前任のジャンポール・ゴルチエと比べれば、キャリアは彼の足元にも及ばないクリストフ・ルメールを起用した時から、「エルメス」はトレンドやニュース性、シーズン性とは無縁のエターナル(永遠)を目指していたのは明らかだった。そんなブランドの2013-14年秋冬コレクションは、顧客である大人の女性の生活様式を突き詰め、ベーシックにほんの少し手を加えることで、彼女たちの洋服に対する不満を解消し、ニーズを満たすラインアップ。デザイン性はこれまでに比べるとずいぶんおとなしい印象だが、それでも最高級の素材で人々を魅了できる「エルメス」の底力を見せた。
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「エルメス」顧客は、屈指のキャリアウーマンか、世界を股にかけるビジネスマンに寄り添う女性、またはその両方の顔を持つ人なのだろう。コレクションは、ミリタリーのエッセンスをほどよく盛り込む端正なもの。オンではアームホールは細め、身頃のシルエットはストレート、そして着丈は長めに設定したダブルフェイスのセットアップ。ボトムスをワイドストレートにして、足元をチャンキー(太い)ヒールのローファーやブーティにすることで、働く彼女をしっかりサポートする。上から羽織るコートは、ルメールならではの細ベルトによるハイウエストマークか、太ベルトでの緩やかなローマークだ。一方、オフにも使えるアイテム群は、バナナシルエットの袖やラグランスリーブに仕様をアレンジ。動きやすさや快適さを念頭に置いている。キモノスリーブの半袖ブラウスには、半円形のグラフィック。おとなしいコレクションの中の遊び心だ。
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