「マトフ」2013-14秋冬のテーマは、“あはい(=あわい)”。今冬は都内でも積雪が多かったため、雪がつくり出す“余白”(雪の積もったところと積もっていないところ)でビルや屋根瓦にはさまざまな絵が描かれた。その、街で見かけた雪景色や、長谷川等伯の代表作「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」を着想源にしている。雪のように真っ白なステージには、朝霧を思わせる薄いモヤが。無音の中、静かにショーがスタート。人と人、モノとモノなどの関係性でできる“間(ま)”を、「マトフ」流のエレガンスな要素を加えて服に落とし込んだ。淡いグリーンと柔らかいベージュで繊細な色の重なりを表現したヘリンボーンを用いて、ビッグシルエットのコートやジャケットを提案。上品な紫や、目の覚める様な青、珍しく使用したという箔プリントが大人な女性像をイメージさせた。
デザイナー堀畑裕之、関口真希子はステージ上でも“配置の美”を演出。「今回はランウェイで立ち止まるモデルのポジションにもこだわった」とし、「素材やテクニックに色々なバリエーションをもたせたが、その服の中に柄がどう配置されているかを強く意識した。日本の美意識を表現している『真行草』の『草』をイメージし、軽さを出したアイテムも制作した」と語る。なお、シルバーアクセサリーやフェルトのヘッドピースは、ロンドンで活躍する若手アーティスト、アキコ・バンによるもの。