若手デザイナー発掘の登竜門と言われるITS(インターナショナル・タレント・サポート)のファイナリストによるプレゼンテーションが7月11日、イタリア・トリエステで行なわれた。ファッション部門10人のファイナリストの1人、エス・モードの木村康人(きむらやすと)は日本の通勤ラッシュをテーマにバックパックと上着が一体化したスーツなどを披露。審査員からは木村に対して数多くの質問が飛び、関心の高さが伺えた。ITSのファッション部門をサポートしているディーゼルのアーティスティック・ディレクター、ニコラ・フォルミケッティやマルニ(OTBグループ傘下)のクリエイティブ・ディレクター、コンスエロ・カスティリオーニなどが審査員を務めている。
同コンテストの観客席には過去の受賞者である「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」のデザイナー、山縣良和や「ミキオサカベ(MIKIOSAKABE)」のデザイナー、坂部三樹郎、そして「ジェニー ファックス(JENNY FAX)」のデザイナー、シュエ・ジェンファンの姿が。ここのがっこうなどで山縣が直接指導している4人がITSのファッション部門やアクセサリー部門でファイナリストとして選出されている。木村はエス・モードでの教え子だ。
「毎年ITSに来ているが、今年も例年通りクリエイションのレベルが高い。木村くんは健闘していると思う。ここのがっこうでもそうだが、ITSでもユーモアがあり、精神性の面白いデザイナーが多かった。木村くん以外にエンブロイダリーの作品を見せたアイスランドのアニータ・ヒールカーもよかったと思う」と山縣。坂部は「2年ぶりにITSに来たが、アジア勢が増えていると感じた。ファイナリストが選び方も同じような作品はひとつもなく、文化的な背景も含めてバリエーションに富んでいて面白い。私も木村くんはとてもよかったと思う。また、愚直にエンブロイダリーに挑戦したアニータ・ヒールカーは新鮮でよかった」。ジェンファンは「ITSに来たのは初めてだが非常にオーガナイズされていると感じた。また審査員もグローバルで活躍している旬な人が多い。真剣に新しい才能の発掘に取り組んでいる。日本のコンテストも、もっとグローバルな審査員を増やすなど、世界的な視点から運営すべきではないか」とコメント。「個人的にはドイツ人のアンナ・ボーンホールドがよかった。受け答えから垣間見える彼女の人間性に惹かれた。また、ファスナーで構築的な服を提案したゾエ・ウォーターもよかった」。
ファッション部門では明日、ファイナリスト10人の中から受賞者が1人、選ばれる。