ファッション

「WWDジャパン」が考察する2014年春夏「東京コレクション」 パート1

 2014年春夏シーズンのファッションイベント「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」(MBFWT)が終了し、約2カ月が経過した。MBFWTでは、計37メゾンがファッションショーとインスタレーションを開催。同ウィークの会期外を含めると約50ブランドがショーを行なっている。既に展示会も行なわれ、バイヤーとの商談も意欲的に進められているようだ。商談が円滑に進んだ背景には、従来のクリエイション本位の姿勢から、ディテールを削ぎ落としたウエアや大人向けのクリエイションを発表したことにある。ブランド特有の異素材レイヤードスタイルを打ち出している「ファセッタズム(FACETASM)」は、同系色のルックやワーク調のセクシーなディテールを取り入れ、ウィメンズウエアのファッション感度を高めている。昨年までメンズウエアのイメージが強かったものの、今季のコレクションで一皮むけた印象だ。同ブランドは、小売りと連動したイベント「ヴァーサス・トーキョー(VERSUS TOKYO)」で発表してきたが、初の単独コレクションをMBFWTで行なったことを見ても、今までと違うモチベーションが働いている。

 独自性を追求しながら、大人向けのアイテムを発表したのが「ミントデザインズ(mintdesigns)」だ。白いキャンバスへ書き殴ったような、力強いマーブル柄や凹凸感のあるダイヤ柄をドレスに採用。さらに、インクを無造作に垂らしたような特徴的なパターンは、粘度質の高い顔料を使用し、「絵の具をぶちまけたようなイメージ。アート作品ではなく、自分たちの新しい方向性をファッションで示したかった」とデザイナーの八木奈央は語る。人工的な光沢を放つテキスタイルやキャンバスを模した四角い生地を、折って畳んで、立体的に仕上げている。これまで、平面的な印刷や版画を想起させるパターンを提案してきたが、今回は"絵画的"なアプローチでコレクションを構成。あえて異質なテキスタイルを使って服を作り込んだ点も、独自性を追求した新たなアプローチだろう。

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