「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」は、創業デザイナーのアン・ドゥムルメステールがメゾンを去り、デザインチームによる初のコレクションとなった。チームは3人で構成しているが、ショーで挨拶に登場したのは、2010年からメンズコレクションに携わってきたセバスチャン・ムニエ。今回のショーもウィメンズとメンズを併せて発表し、今後もその予定だという。
チームはこれまでの路線をきっちり継承。ドゥムルメステールはメゾンにおいてカリスマティックな存在ではあったが、8年前から自身がメゾンを去るための準備を進めてきたと言われており、バトンの受け渡しはスムーズに行なえたようだ。派手さのない交代劇はメディア的には華に欠けるが、全世界に480件ある卸し先は既定路線の継続にホッと胸をなでおろしただろう。
黒を基調としたロック&エレガンスなレイヤードスタイルは変わらず、これまでより少しリラックスの度合いが高まっている。大きいスナップを多用した服は形を自由に変えることができる。生地をたっぷりと使った服は、ベルトの使い方次第でボリュームを調整することができ、ウエストをマークしたきっちりとしたスタイルにも、身体が服の中で泳ぐリラックスしたスタイルにも着こなせる。
メンズは、ペイズリー柄刺繍のジャケットなど、黒の中に黒の装飾を取り入れることで艶っぽく。一方で、パイルやファーの素材使いで、見て触ってホッとする優しいデザインも目立つ。レザーのライダースは裾にシャーリングを入れるなど強さの中に適度な緩さを入れているところが今風だ。