クリスチャン ルブタン ジャパンは12月4日、東京・青山に国内7店舗目になる旗艦店をオープンした。オープニングに合わせてデザイナーのクリスチャン・ルブタンが来日。「WWDジャパン」では、旗艦店やクリエイションの源流についてインタビューを行なった。ここでは本誌では紹介しきれなかったインタビューの完全版を3回にわけてお届けする。
ーーレッドソールはどのようにして生まれたのか?
クリスチャン・ルブタン(以下、CL):偶然生まれたんだよ。それは、初めて出来上がった靴をイタリアの工場で見た時のこと。プロトタイプだったので主にシェイプをチェックしていたんだ。指示通りに仕上がっていたが、どこか想像していたものと違う。再度見ると、ソールに何も色が入っていなかったことに気づいたんだ。私にとってシェイプだけでなく色もとても重要だった。そんな時、靴を試そうと隣にいた女性が赤いマニキュアを塗っていた。私は、彼女からそのマニキュアを奪い、ソールに塗り始めた。すると彼女は「待って!あと2本塗るから」と言ったが、「大丈夫。後で同じものを買ってあげるから」と私は言い塗り続けた。彼女は「特別なものだからもう手に入らないの」と言ったけれど、私はお構いなし(笑)。塗り終えてスケッチを見比べるとまさしく同じになったんだ。当初は毎シーズン、色を変えようと思っていたが、赤が定着しそれがトレードマークになった。
ーーメンズシューズはウィメンズとは異なると思うが、どういうアプローチをしているのか?
CL:最初は異なるアプローチだったが、今は同じ。そもそも私はメンズシューズをデザインするつもりは全くなかった。考え方が全く違うので興味もなかった。友達に頼まれ1足、2足作っていたが......。ヨーロッパではメンズの靴は伝統的なもの。父親から息子へ譲るという伝統がある。そしてまたそれが父親にとって誇らしいことだった。女性はそれがありえないでしょ?15年も履いていた靴をもらっても娘はあまり喜ばない。しかしある日、ポップスターのミーカからシューズを作って欲しいとリクエストがあった。私は彼に「なぜ、私に靴をデザインしてほしいのか?」を訪ねた。すると彼は「私には3人の姉がいて、彼女たちがあなたの靴を履くととても気分が高揚する。それができるデザイナーはほかにはいない。私も靴をはいて気持ちを高揚させて、舞台でパフォーマンスをしたい」と言う。私はすべての女性はショーガールの要素を持っていると思っていたが、男性はないと思っていた。以前は、男性靴をビジネスマンのための靴と考えていたんだ。でもその考えをやめ、つまりショーボーイのための靴を作ればと思ったんだ。そうすると実際に人気が出た。なので最初は違うアプローチだったが、結果として同じアプローチになったんだよ。
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