中央公論新社は10月25日、フランスで30万部以上売れたベストセラーで「マリ・クレール」文学賞にもノミネートされた『あなたはまだ何も知らない』を刊行した。著者は、ヴィルジニー・ムザ。彼女は、1996年から仏「フィガロ」紙でアソシエート・エディターとファッション・ディレクターを務め、2013年に仏版「ヴァニティフェア」のファッションとライフスタイル部門の編集長に就任した、世界で最も影響のあるファッション・リーダーのひとりだ。彼女が田居克人「マリ・クレール・スタイル」編集長に相談したことがきっかけで日本語版発刊が実現。「女性の生き方について書かれた本。うつろいやすいところに身を置く、ファッション業界で働く女性に読んでほしい」と田居編集長。
出版記念レセプションが10月25日、東京・表参道のエスパス・キュイジーヌで行なわれた。これはムザ編集長がルイ・ヴィトン社と親交により実現したもので、同社にとっても書籍は特別な存在であり、独自の出版部門を設けていることもある。ちなみに、3代目のガストン‐ルイ・ヴィトンは愛書家で、3つの愛書家団体の創設にも加わり、自身もまた書くことに情熱を注いだという。同書は、卵巣のない女性が恋に落ちた一人の男性に手紙を書くというスタイルで書かれている。ムザ編集長は「愛の物語なんですが、その身体的違いが地獄なのか楽園なのかと問題提起をしました。ファッションジャーナリストが書いた本という先入観を持たずに読んでほしい。ファッションではなく一人の女性について書いた本だから」と語った。