フランス発「ティビエルジュ パリ(THIBIERGE PARIS)」のデジタルと紙を融合した手帳「ル カルネ(LE CARNET)」の世界初のお披露目が6月9日、フランス大使館で行われた。この手帳は、ラッカー仕上げのカバーに2冊のノート(リフィル)を磁石で取り付けるようになっている。ノートやプランナー、スケッチブックなど数種類のリフィルには1平方メートルで48.5グラムの世界で最軽量の紙を使用。200ページでもわずか6.5ミリメートルという薄さだ。また、各ページにスキャン用デジタルコードが施されており、「ル カルネ」用の独自アプリ(LE C@RNET)を使用すればノート上のメモやスケッチをデジタル化し、保存することができる。
「ル カルネ」を開発したのは紙の魔術師と呼ばれるエメリック・ティビエルジュだ。フランスの製紙業界で働いていたティビエルジュは、パリ・左岸のテキスタイル店を覗きながらテキスタイルのデザイナーはいるのに、紙のデザイナーが存在しない事に気付く。そして1987年、クレアチュール・ド・パピエ(ペーパーデザイナー)になる事を決心。ペーパーデザイナーとしてティビエルジュは紙を極限まで洗練させることに専念し、卓越した紙を生み出してきた。彼は、数多くのラグジュアリー・ブランドの包装紙などを手掛けるほか、「エルメス(HERMES)」で紙のアドバイザーとしても活躍。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の手帳なども手掛けている。
来日したティビエルジュに世界初公開の場に日本を選んだ理由を聞くと、「日本は『ル カルネ』のコンセプトにぴったりだから。日本には書道など紙の文化があり、同時にハイテク。文具やデジタル関連で、最も洗練された市場だ」という答えが返ってきた。彼が「ル カルネ」を作るきっかけとなったのが、愛用していたレザーの小さな手帳だ。「手のひらサイズの電子手帳が流行した時、試してみたが、しっくりこなかった。それで、ふとしたひらめきを書き留めるために手帳を買った。数年後、鉛筆で描いたスケッチは風化したかのようにかすれ、消えかけているのを見て、ショックを受けた。だから、自分の理想の手帳を作ろうと思ったんだ」。
「ル カルネ」は今秋フランス・パリのボン・マルシェ、日本では11月9日、伊勢丹新宿店で発売する。