三越伊勢丹ホールディングスは26日、日本橋三越本店の7階に新しい複合型コンセプトショップ「はじまりのカフェ(Hajimarino cafe)」を開いた。カフェスペースと物販スペースを融合した売り場構成にし、客がスタッフとじっくり会話しながら商品を選べるようにした。「ゲート」「フォレスト」「ガイド」「ツール」「ギア」の5つのゾーンからなる約535�uに、オープンキッチンで実演する食品やキッチン用品、カメラやモバイル端末、「モンベル」のアウトドア用品、各種出張サービス、趣味・健康管理などの紹介サービス、期間限定の体験型ポップアップショップを設け、「どこに行けば買えるのかわからないモノやコトとの出会いを実現する売り場」(同社)を目指す。売り場内での有料イベントも定期的に開く。初年度の売上高目標8億5000万円を掲げる。
「はじまりのカフェ」は本館7階の催事スペースを改装して開店した。既存の百貨店の売り場に比べて商品の陳列量を大幅に減らし、その分プレゼンスペースを大きくとった。中陽次・日本橋三越本店長は「陳列よりも(お客さまとの)コミュニケーションを優先した」「座売りにエンターテイメントの要素を付加した」と説明する。百貨店以前の日本の小売業は、畳の上で客と会話して必要と思われる商品を店の奥から取り寄せる「座売り」。百貨店の誕生によって「陳列販売」に変化したわけだが、客とじっくり話して潜在的なニーズまで汲み取る座売りの原点に返るコミュニケーション型の売り場を目指す。
日本橋三越本店は「カルチャーリゾート百貨店宣言」を発表した。伊勢丹新宿店がファッションを前面に掲げるのに対し、同店では伝統文化やライフスタイルを重視する方針を明らかにした。「はじまりのカフェ」はその方向性を示す売り場と位置付ける。この宣言に基づき、2016年度をメドにした全館リモデルを進める。