「アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH 以下、アバクロ)」は2017年春夏、かつて主要顧客だったティーンズ世代へのアプローチを妹ブランドの「ホリスター(HOLLISTER)」に託し、20代向けのブランドに刷新する。
かつてはブランド名やヘラジカのロゴをいたるところにあしらったアイテム、セクシーな広告、暗い店内と爆音のBGMが若者の人気を集めたが、主要顧客が大人になると共に売り上げが低迷。14年はロゴ入りアイテムを減らし、ファッション性に富んだラインナップをそろえたものの、業績はさらに悪化した。以来、卸のスタートやトップおよびデザイナーの交代、店舗のリモデルなど、さまざまな取り組みを行ってきた。
アーサー・C・マルティネス(Arthur C. Martinez)=アバクロンビー&フィッチ エグゼクティブ チェアマンは、刷新に際して「ホリスター」の新しいストアコンセプトを参考にするという。店内を回りにくくする什器を減らし、丁寧な接客を徹底する。オンラインショッピングが増える中、店舗でしかできない試着の質を上げるべくフィッティングルームも改善する。人気のストレッチの効いた生地"エピック フレックス(Epic Flex)"をチノパンツやニット、ポロシャツ、シャツなど、「アバクロ」の商品にも導入する。 また、重衣料を中心に、よりシーズンにあった品ぞろえを提供する。「われわれは決してティーンズ向けのブランドではない。広告でも、ターゲット層と同年代のモデルを起用し、彼らのライフスタイルに訴えかける。『アバクロ』は、20代向けのアメリカンカジュアルラグジュアリーブランドだ」。
同社の16年5?7月期の売上高は前年同期比4.2%減の78億3200万ドル(約7910億円)だった。そのうち「アバクロ」は同7%減、「ホリスター」は同2%減だった。昨年から店舗網を見直しており、今後リース期間が終了する米国内の60店舗を閉鎖する予定だ。16年度は15の新規店舗と、アウトレット店を6店オープンする。卸にも力を入れており、8月末にヨーロッパ最大級のファッションECサイト、ザランド(ZALANDO)と卸の契約を締結した。
VICKI M. YOUNG
訳 北坂映梨