しまむらの2016年3~8月の6カ月決算は、売上高が2810億円(前年同期比5.8%増)、本業のもうけを示す営業利益が251億円(同40.6%増)、経常利益が256億円(同37.7%増)の増収大幅増益となった。
「本質を理解して、変革は大胆に」をテーマに取り組んできた今期は、特に主力の「しまむら」業態が好調で、既存店は3.2%増、全店売上高は4.7%増となった。野中正人・社長が「一番こだわっている」という客数についても、2.2%増、客単価は2.4%増となった。
「商品開発の進化による品ぞろえの変革が進んでいる」と野中社長。かつての多品種少量型の品ぞろえから、コア商品を明確にして一型当たりの販売数量を最大化する商品構成にシフト。発注を前倒してスケジュール管理を強化することで、在庫コントロールが進んだことなどもあり、粗利益率は33.2%と前年同期に比べて1.8ポイント改善した。
直流と呼ぶ、中国からの直接物流比率は0.7ポイント拡大し、32.2%となった。「4月21日から新たに自動発注システムを導入し、商談時に設定したスケジュール通りに納品しやすい仕組みを構築したことで、直流の利用を選択する取引先が増えた」ことが要因だ。特に7月は33.3%、8月は40.3%と月を追うごとに比率が向上しており、コスト削減につながっている。
また、新規出店は通期で70店舗を割り込む見通しとなり、目標とする年間100店舗出店には届かなかったが、月間50店舗のハイペースで「2016年型新レイアウト」にリニューアルを実施。マネキンを設置して商品のくくりを明確化したり、陳列棚を低くして視認性を高めたことなどにより、陳列・演出力が向上し、売り上げにつながった。
下期の品ぞろえについては、「しまむら」でトレンドのキーアイテムを塊として打ち出す手法を強化。今季は「スカジャン」「ボリュームニットプルオーバー」「ロングカーデガン」「スカンツ」の4アイテムを訴求する予定。また、コア商品については、夏に「ティーズ」としてTシャツをキャラクター、ブランドもの、メンズ、ウィメンズ、キッズまでまとめて打ち出したことが奏功。秋冬には「スエッターズ」の名称でスエット関連商材を編集して大々的に打ち出す計画だ。また、2年続けてヒットしてきた「裏地あったか」シリーズについては、パンツだけでなく、トップスにも拡張し、シーズンで200万枚を販売したい考え。
さらに、3000店舗体制に向けたシステムの刷新を推進する。自動発注や自動移送システムに加え、新たに自動値下げシステムも導入する。年間100店舗出店に向けては「人材の育成が鍵」としており、早期に一人立ちして契約を完了させられるスキルを身に着けさせたい考え。
17年2月期の通期の業績は、売上高5742億円(前期比5.2%増)、営業利益462億円(同15.8%増)、経常利益468億円(同15.2%増)、当期純利益は306億円(同23.7%増)を予想する。期末店舗数は「しまむら」の1364店舗を含め、グループで2080店舗となる見込みだ。