パルコの牧山浩三・社長は、5日開催のJ.フロントリテイリングとの合同決算説明会の席で、2017年秋に開業予定の上野店について、「パルコの新業態になる」と明かした。上野については、Jフロントが213億円を投じて、松坂屋上野店南館をパルコ、シネコン、高機能オフィスなどで構成する高層複合ビルに建て替えているところ。核テナントとしてパルコが出店するが、「都市にとって百貨店やパルコなどの境がなくなった。上野をスタートに、マーケットの消費者に一番心地良い形を作ることにまい進する」としたうえで、「上野では、百貨店とどう連動するかよりも、次に百貨店に行く層や百貨店と連動する層を両方取る。この業態を確立できれば、パルコともゼロゲートとも違う業態が生まれると思う」と続けた。パルコ以外の名称を使用するかなどについては言及しなかった。
パルコの2016年3~8月期決算は、7月に開業した仙台パルコ2や貢献したものの、衣料品が不振だったため、売上高は1340億円で前年同期比2.0%減、本業のもうけを示す営業利益が65億円で同2.5%減となった。親会社に帰属する四半期純利益は37億円で同9.6%増となり過去最高を更新した。
アイテム別の売上高は衣料品が同5.3%減で、うち、婦人服が同8.5%減、紳士服が同9.6%減、衣料品総合が横ばいだった。身の回り品は同1.4%減で、うち、化粧品は同9.3%増、バッグは同1.0%増、装身具が同0.5%減、靴が同2.8%減だった。買い上げ客数は同4.9%減、客単価は同1.2%増だった。
主な店舗別の売上高と伸び率については、都心型店舗グループでは7月に仙台パルコ2(初年度売上高目標70億円)が開業した仙台パルコが73億円で同15.6%増と前年を上回ったが、名古屋パルコが172億円で同1.6%減、池袋パルコが同125億円で同8.2%減、福岡パルコが93億円で同3.2%減、8月7日に一時休業中に渋谷パルコは69億円で同10.4%減だった。一方、コミュニティー型店舗グループと呼ぶ地方店については、熊本パルコ、調布パルコ、新所沢パルコ、松本パルコが前年超えをしたものの、他は全店マイナスだった。
17年2月期の通期業績は、売上高2710億円で前期比1.9%減、営業利益は129億円で同1.0%増、経常利益は131億円で同3.4%増、親会社に属する四半期純利益は69億円で同13.8%を予想。「5期連続の増益、四半期純利益は過去最高を目指す」。