小松精練は、廃棄物のタマネギ外皮から抽出した成分をベースに、様々な天然成分を配合し染色を可能にした素材「オニベジ(ONIBEGIE)」で2016年度「グッドデザイン賞」を受賞した。今回の受賞は、13年の超微多孔発砲セラミックス「グリーンビズ」、14年の日本道路と共同開発した超保水・透水性インターロッキングブロック「グリーンビズG」に続いて3回目の受賞だが、ファブリックとしては初めて。
同社は、植物の廃棄部分から得られる植物成分の中から合成繊維の染色に適したものを見出すこと、そして効率的に染色するため合成繊維自体の性質を変えることの2点について、重点的に試験を行い、技術を確立した。通常、合成繊維は植物成分が固着しにくく、日光や洗濯などで色が落ちてしまうが、オニベジではその問題を解決。廃棄物であるタマネギの外皮を有効利用することで環境にも優しく、化学染料だけではできない自然な色の表現を可能にした。オニベジはタマネギ以外にもオリーブやワイン、竹炭、米などをテーマにしたさまざまなカラーバリエーションを表現できる。
グッドデザイン賞の審査委員は、「天然成分の染料は通常、綿や絹などに用いるが、化学繊維までを対象にして自然な色合いを実現したことに技術的なイノベーションがある。小物だけではなく、インテリアに使われる素材への展開にも可能性がある」とコメント。