京都の西陣織の老舗・細尾が映画監督のデヴィッド・リンチとコラボレーションした個展「デヴィッド・リンチ ミーツ ホソオ(DAVID LYNCH meets HOSOO)」が東京・表参道のアイ オブ ジャイルで開催中だ。デヴィッド・リンチが描写する多層的世界(The Multistory World)を、同じく多重構造によって色柄を表現する伝統工芸の西陣織とリンクさせた空間インスタレーション。細尾真孝が同氏の絵画作品「スパイラル」の世界観に着想し、らせん状の模様をのせた全長約70メートルにわたる巨大な織物を製作した。
「イメージは絵巻物。入口から3種類の織物をつなげて展示している。10層にもわたる多重構造で色をのせたことで、見る角度によって光沢が変わる銀河のような色柄を表現できた。リンチの映画も多くの含み(レイヤー)を重ねているし、急に場面が大きく変わる瞬間がある。ここでは、途中で織物を裏返す展示方法によって、いきなりシーンが変わるリンチのコントラストを表現した」と細尾氏。
かねてより細尾の西陣織にインスピレーションを得ていたというリンチ。同京都造形芸術大学国際藝術研究センターの所長や、青森県立美術館美術統括監インディペンデントのキュレーターを務める飯田高誉の仲介によって、今回のコラボレーション企画が実現した。同展は11月13日まで開催する。