バーニーズ ニューヨーク新宿店は10月16日まで、「ナイキ(NIKE)」の貴重なスニーカーを集めたアーカイブ展「キングマサズ シュージアム(KING-MASA’S SHOESEUM)」を開催している。スニーカーを提供したのは、1989年生まれのスニーカーコレクター、キングマサ(KING-MASA)。“ダンク(DUNK)”や“エアフォース1(AIR FORCE1)”に端を発する2000年代の「ナイキ」ブームの中で育った、次世代のカリスマコレクターによる展示は、同店の荻原宗平・副店長がキングマサのファンだったことで実現した。フジテレビのバラエティー番組「パイセンTV」が密着取材する中、キングマサに迫った。
WWDジャパン(以下、WWD):「シュージアム」という名前にはどういう想いを込めたか?
KING-MASA(以下、マサ):5月にスニーカー本「アウト オブ ストック スニーカーズ(OUT OF STOCK SNEAKERS)」を発売した際のサイン会で、荻原さんに声をかけてもらった。いつか自分の持っているスニーカーで博物館をしたいなと思っていたので、「SHOES+MUSEUM=SHOESEUM」という名前に。日本では見られないモデルを展示するため、必然的にアメリカ限定モノが多くなった。スニーカーは全部、展示の為に京都からスーツケースに入れて持ってきた。保険を掛けて送る人も多いようだが、お金が返ってきてもスニーカーが無くなるのは悲しいこと。もう買えないモノも多いので、お金じゃない。スニーカー本のために撮影した時も「送るのだけは勘弁してください」って、京都のスタジオで撮影した。
WWD:スニーカーは今何足ぐらい持っているのか?その中で一番価値のあるものは?
マサ:家にあるのは合計で200足ぐらい。基本的に買う時、履くモデルと履かないでコレクションするモデルを決めている。今日履いている「アクロニウム(ACRONYM)」とコラボした“エアプレスト(AIR PRESTO)”は、履く用とコレクション用を2足買った。200足中、「リーボック(REEBOK)」と「アディダス(ADIDAS)」の1足ずつを除くと、残りは全て「ナイキ」。「ナイキ」以外は履いた時、自分の足に合わないというか違和感があって……。一番価値のあるモデルは多分“レッド オクトーバー(AIR YEEZY 2 RED OCTOBER)”。以前「70万円で売って欲しい」と言われたことがある。
WWD:「ナイキ」に傾倒した理由は?
マサ:スニーカーに興味を持ち始めたのは中学1年の頃。当時日本では“ダンクSB(DUNK SB)”がすごい人気で、初めて手に入れた“SB”が“カリフォルニア(CALIFORNIA)”。“エアフォース1(AIR FORCE1)”は“馬華(バカ)”だった。当時は中学生でなかなか買えなかったが、アメリカに住んでいた従兄に会いに行く機会があって、親父が渡米の度に1足ずつ買ってくれた。あとは、お年玉やお小遣いを貯めて。その頃から「ナイキ」ばかり。
WWD:“カリフォルニア”も“馬華”もすごい人気だったが、当時はどうやって情報を得ていたのか?
マサ:インターネットも今のように盛んではなかったので、情報を得るのにはかなり苦労した。高校の時オーストラリアに留学していて、そこで“SB”を扱うショップのスタッフと仲良くなり、毎日通った。相手は日本のブランドを売りたくて、僕は日本から「エイプ(ア ベイシング エイプ。A BATHING APE)」とかを並行輸入していたこともある。そこで“SB”を手に入れた。次第にガッツリのめり込んで、ブログ「ハイライフSB(HI-LIFE-SB)」を立ち上げた。英語もスニーカーショップのスタッフと話しながら覚えて、いつもスニーカーを通してコミュニケーションしている。スニーカーがなかったら、僕はここまで英語も上達していなかった。
WWD:インスタグラムでは、クラシックなスタイルも披露しているが。
マサ:クラシックなスタイルも好き。ストリートウエアはもともと大好だったが、高校の時はすごい太っていて全てXLサイズだった。体重105kgで体脂肪率は45%ぐらい。最後は36インチのジーパンが入らなくなり、それでトレーニングを始めた。12月に金子賢さん主催の「サマースタイルアワード」という大会があって、実は今も減量中。一般的な裸のボディビルじゃなく、裸とスポーツウエア、スーツを着たスタイル全てが審査対象で、スーツを美しく着るという審査項目もあるので、そこだけは負けたくないと思っている。洋服が似合う体つくりを目指して毎日1時間半~2時間トレーニングしている。昨晩も今朝も行ってきた。ボディメイクも歯磨きと同じ感覚。
WWD:スニーカーコレクター以外の肩書きは?
マサ:日本ではハイライフSB(HI-LIFE-SB)、アメリカではグランディア(GRANDIR INC)という会社を経営している。以前は並行輸入をしていたが、書籍の出版や今回のイベントを機に今は「オールウェイズ アウト オブ ストック(ALWYS OUT OF STOCK)」という自社ECサイトでTシャツやスニーカーのケアグッズなどの販売を始めた。海外で人気のブランドを探して、取り引きするために交渉中。
WWD:ブログやSNSでは何を配信しているのか?
マサ:スニーカーのリリース情報だけなら他のサイトの方が早い。コレクター目線で僕だったらどんな記事が読みたいか、どんな事が知りたいかということに特化している。自分なりにできる限り定価で買うというルールがあるので、定価で入手するための方法や海外のコレクター情報、ショップ情報、クリーニング方法なども配信している。インスタグラムのハッシュタグを作って、同じようなスニーカー好きのコーディネート写真も載せたり。他にもフェイスブックの掲示板を活用したり、スニーカー好きが集まるイベントを開催したり、スニーカーを通していろんな人と触れ合う機会をどんどん増やしたい。スニーカーの話なら永遠にしていられるので(笑)。