中井英一朗の「エルザ・ウィンクラー(ELZA WINKLER)」は2017年春夏、ジャケットを12型発表した。1シーズンに10型以上のジャケットを作る東京デザイナーズのウィメンズブランドはごくまれ。中井デザイナーは、「ヨウジヤマモト」や「アトウ」でパタンナーを務めた後、サラ・バートンの「アレキサンダー・マックイーン」でコレクションラインのジャケットのパターンを担当した経歴を持つ。同ブランドのジャケットは、ダイナミックなカッティングと体に吸い付くようなフィット感が特徴だ。
「第45回ベストドレッサー賞2016」では、政治部門とウールマーク賞を受賞した小池百合子・東京都都知事が着用したジャケットをデザイン。過去には、女優の有村架純にもジャケットを仕立てた。中井デザイナーにデザインへのこだわりを聞いた。
“ジャケットといえば「エルザ・ウィンクラー」”というブランドにしたい
WWDジャパン(以下、WWD):17年春夏に12型のジャケットを発表した理由は?
中井英一朗「エルザ・ウィンクラー」デザイナー:思い入れの強いアイテムなので、これまでも主軸アイテムとして作ってきた。今シーズンは、より明確に“ジャケットを得意とするブランド”として発信するため種類豊富に提案した。
WWD:ジャケットへのこだわりは?
中井:ジャケットは洋服のさまざまな要素が集結したアイテム。特にこだわっているのはシルエット。デコルテがきれいに、腕が細く長く見えるように、身頃がシャープに演出できるようにデザインしている。そのシルエットを引き出せるよう、生地や、肩パッドやユキワタ、芯などの内側の仕様などにもこだわっている。“ジャケットといえば「エルザ・ウィンクラー」”と名前が挙がるようなブランドにしたい。
WWD:小池都知事のオーダージャケットはどのようにデザインした?
中井:普段からジャケットスタイルが多い小池さんなので、少し異なる側面からアプローチ出来たらと思い、マニッシュなデザインを考えた。全体的なシルエットはシャープにしたり、袖の振りを強くした。一方で、女性らしさはデコルテの辺りがきれいに見えるよう、ラペルにカーブを入れて、衿がふわっと返るよう仕立てた。
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