11月に千葉パルコが閉店 来年3月に三越千葉店が閉店
千葉市の中心市街地の空洞化が進んでいる。かつては県内一の商業地として、県全域から人を集めてにぎわっていたが、2000年以降は県内各地に郊外型ショッピングセンターやアウトレットモールが相次いで開業。広域からの集客力がじわじわと落ちた。その影響で11月末には千葉パルコが営業を終了し、来年3月には三越千葉店が閉店する。パルコと三越という老舗の退場によって、営業を続ける既存の商業施設も来街者の落ち込みを懸念する。
「数年後にこの場所は様変わりしているかもしれないが、千葉パルコのことを長く思い出していただけたらうれしい」。千葉パルコの最終営業日となった11月30日夜の閉店セレモニーで、上田昭二・店長が声を詰まらせながら挨拶した。同店の最後の瞬間を見届けようと、歩道や隣接する公園を数百人が埋め尽くした。
市内に住む40代の女性は「学生時代はパルコとセンプラ(近隣にあった商業施設のセントラルプラザ)をぶらぶらするのが楽しかった。センプラはだいぶ前(01年)になくなってしまい、今度はパルコも閉店。私と高校生の娘も最近は(郊外の)イオンモール(幕張新都心)で買い物することの方が多い」と話した。
千葉パルコは1991年度には売上高232億円を誇っていたが、2015年度は51億円に落ち込んでいた。パルコ文化に勢いがあった80~90年代は千葉駅から徒歩10分という立地の不利が問題になることはなかったが、ECを含めた競争が激化した現在では足が遠のく一因になったと見る向きもある。周辺店舗への影響を心配する声も多い。
千葉駅から徒歩5分の三越千葉店も閉店する。かつて隣接し、買い回る客も多かったそごう千葉店が93年に京成千葉駅側に移転した影響もボディブローのように効いた。三越のブランドバリューで外商を強みにしていたが、売り場面積が約3倍のそごうに集客競争や有力ブランドの獲得合戦で苦戦を強いられてきた。ピーク時に500億円あった売上高は、2015年度は126億円まで縮小していた。
千葉パルコと三越千葉店の閉店で、中心市街地の重心はJR千葉駅周辺に集中しそうだ。JR千葉駅は5年がかりで改装され、駅ビルのペリエ千葉が11月20日に食品フロアなどを部分開業した。18年夏以降の全面開業時には、多くのファッションブランドも入る大型駅ビルになる。三越千葉店の閉店によって上質を求めるミドルアッパー層がそごう千葉店に移ることも予想されるが、「これまでの経験上、(競合百貨店の閉店による影響は)限定的」(そごう・西武広報)と見る。ただ来街者の減少には危機感を持っており、「近隣商業施設の閉店により、千葉市街地の活性にますます重責を担うということと認識している」。そごう千葉店は昨年11月に千葉市と包括協定を締結。中心市街地の活性化や地域産品の販売促進、子育て支援など10分野で相互連携を進める。