2017年に新規開業する国内のショッピングセンター(SC)は46カ所になる見通しだ。新規開業が50カ所を下回るのは5年ぶり。長引く消費不振に加えて、高止まりしている建設費も足かせになって地方での新規開業が減る。一方で、大都市部では百貨店による業態転換などもあって引き続き新規開業が目立つ。
22日に日本ショッピングセンター協会が発表した。対象となるのは店舗面積1500平方メートル以上で、10店以上のテナントが入るSC。2000年半ば以降の新規開業のSCは、東日本大震災の影響を受けた12年の35カ所を除けば、50~80カ所の水準を維持してきた。国内SCは05年に総数2704カ所・売上高27兆円だったが、15年には3195カ所・31兆円まで拡大。全国的にすでに飽和状態と言われており、新規開業は今後も減速してきそうだ。
17年に新規開業する大都市部の主要物件は、百貨店による業態転換や業容拡大が多い。3月に開業する「マロニエゲート銀座2・3」は、今月31日に営業終了するプランタン銀座が業態転換するもの。プランタン銀座は業種としては百貨店に分類され、消化仕入れの商売をしてきた。マロニエゲート銀座2・3へのリニューアルを機に、テナント賃料によるSC事業へと移行する。J.フロント リテイリングなど4社による4月の「ギンザ シックス」は、松坂屋銀座店の跡地を高級ショッピングモールに再開発したSCになる。同じく4月、名古屋駅に開業する「タカシマヤゲートタワーモール」は、JR名古屋高島屋が隣接地に開発したSC。秋の「松坂屋上野店南館建替計画」は、百貨店として営業してきた南館をパルコやシネコンを入れたSCに刷新する。
新規SCの傾向としては、引き続きファッションなどの物販テナントを縮小し、飲食やサービスの拡充が進む。新規開業SCのテナント数で物販テナントの割合をみると、16年に初めて6割を割り込んで56.2%になった。「単なる消費ではお客さまは集まらなくなっている」(同協会)。大手アパレルの出店抑制やデベロッパー側のコト消費の重視もあり、来年以降もこの傾向に拍車がかかる。