素材メーカーの帝人と関西大学は共同で、伝統的な日本の組紐技術を応用した新しいセンサーファイバーを開発した。圧力により微弱な電力の発生する圧電繊維と電気を通す導電繊維を組紐方式で生産することで、形状やデザイン性に優れ、低ノイズ・高感度なセンサーファイバーになるという。
関西大学の田實佳郎・教授は、「さらに組紐の技術の一つである飾り紐を使うことで、これまでCPUによる高度な計算処理が必要だったモーションのセンシングもこの素材だけで可能になるため、“モーションセンサー素材”としてのポテンシャルは非常に高い。だがそれ以上にデザインの自由度の高さから、ファッション分野で特に可能性を感じている」という。生産に関しても、既存の設備や技術を使うため、従来のスマートファイバーに比べ、低コストに抑えられるという。圧電センサーは、AR(拡張現実)の基幹技術として注目されており、今後はファッションだけでなく、医療や介護、エンターテインメントなどの幅広い分野で展開する。
この圧電組紐は、1月18~20日に東京で開催される「ウェアラブルEXPO」で発表し、用途開発のパートナーを探す。