ファッション

ダン・フレイヴィンの未公開作品がエスパス LV東京で

 エスパス ルイ・ヴィトン東京は2月1日~9月3日、ダン・フレイヴィン(Dan Flavin)を讃え、フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵する未公開作品を含めた7作品を展示する。この展覧会はフォンダシオン ルイ・ヴィトンによるアーティスティック・ディレクションのもと、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京と世界で活動する各エスパスでの「Hors-les-murs(壁を越えて)」プロジェクトの一環として企画されたもの。展示作品は『Untitled (無題)』(1963年)、『Alternate Diagonals of March 2 (to Don Judd) [3月2日のもう1つの「斜め線」(ドン・ジャッドへ)]』(1964年)、『“Monument” for V. Tatlin (V・タトリンのための“モニュメント”)』(1964-65年)、『“Monument” for V. Tatlin 』(1967年)、『“Monument” for V. Tatlin 』(1969年)、『“Monument” for V. Tatlin 』(1970年)、『Untitled (to Alex and Nikki) [無題(アレックスとニッキーへ)]』(1987年)。

 ダン・フレイヴィン(1933-1996年)は、ミニマリスト運動の主唱者として芸術媒体に「光」を使用するという手法の探究に生涯を捧げたアメリカ人アーティスト。父親の方針により受けざるを得なかった宗教的教育を自ら断ち切ったフレイヴィンは、ニューヨークのコロンビア大学で美術史を学び、さまざまな芸術的技法や材料についての知識も身に付けた。工業的に加工された材料の使用、基本形の連続と反復という手法、そして表象、錯覚、あるいは隠喩(メタファー)の拒絶を通して、フレイヴィンは、ドナルド・ジャッド、ロバート・モリス、ソル・ルウィットらと並び、ミニマリスト運動の誕生に貢献した。

 フレイヴィンは1961年から1963年にかけて制作した『Icons (イコン)』シリーズで初めて「光」を使用。8枚の四角いキャンバスに電球と蛍光灯を取り付けたこの作品群は、その後、彼のキャリアにおける”閃き”の瞬間に繋がり、45度の角度で壁に取り付けられたゴールドの着色蛍光管が発する長い1本の光の帯──『The Diagonal of May 25, 1963 (1963年5月25日の斜め線)』が誕生した。彼はそれ以降、4種類のサイズと10種類の色(青・緑・ピンク・黄・赤・紫外線、そして4種類の白)の既製品の蛍光灯のみを素材とし、改造したり、装飾を加えたりせずに限られた材料を様々に配置した作品を生み出し続けた。

 フレイヴィンの作品は、素材である「光」を宗教的、あるいは神秘的に解釈することを一切退け、光は単に、それ自体の存在を表すものとしてのみ用いられている。それは、本質的に「状況的(situational)」なものとして、作品に占有された物理的空間、そして鑑賞者とその空間に生まれる相互作用に焦点が当てられている。1960年代から1970年代にかけて、フレイヴィンの作品は、単純な構造から、部屋の角部分を使ったインスタレーション、そして代表的な「格子で塞がれた廊下(barred corridors)」まで、より複雑な形状を持つようになった。その規模は空間の隅々に至るまで拡大し、床から天井まで、あるいは壁に沿って伸び、ピクチャーレール、廊下にまで広がった。同時にフレイヴィンは、様々な色のバリエーションや明度を試し、垂直方向、水平方向、あるいは斜め方向に配した蛍光灯の長さや本数、並べ方に応じて、色合いや明るさを調節した。

 1970年代以降、フレイヴィンの作品はますます大規模になり、この頃から彼は、主として、特定の場所に存在するために制作するサイトスペシフィック・インスタレーションに取り組むようになった。芸術家としてのキャリアを通してフレイヴィンが最も意欲を見せたことは、単純な光の相互作用を用いて空間を変身させ、美しく豊かなものにすることにより、鑑賞者に感覚的な空間の体験を提供するということだった。

■エスパス ルイ・ヴィトン東京
場所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル 7階
時間:12:00〜20:00
入場料:無料

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