アメリカのデザイナーズブランドにおいては“古豪”という言葉がピッタリだった「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA以下デ ラ レンタ)」が、ローラ・キム(Laura Kim)とフェルナンド・ガルシア(Fernando Garcia)によるファースト・コレクションを発表した。ショーは、ローラとフェルナンドが立ち上げた「モンス(MONSE)」のショーからスタート。間髪を入れずに「デ ラ レンタ」のショーが続く。「デ ラ レンタ」がローラとフェルナンドを愛し、ともに成長したいと願っているかのような合同ショーだ。
最初の「モンス」は、アヴァンギャルドでエッジーなムードが強くなった。ファーストルックは、解体したピュアホワイトのシャツ。パーツに無数のフリルをあしらい再構築したシャツは、ハトメを打ち込んだ強いベルトのパンツルックに組み込んだ。その後も、純白のシャツ、グレーのスーツ、タートルネック、ひざ下丈のスカートなど、コンサバ女子の定番を起点に、肩や太ももを露わにしたり、裾をアシンメトリーに仕上げたり、太いベルトやボリュームたっぷりのファーでシルエットを変換したりでエッジーな世界を探求する。ベースが定番ゆえ、思い切ったクリエイションもちゃんとリアルだ。
これに続く「デ ラ レンタ」は、よりコンサバで王道のエレガンス路線だ。細身のパンツスーツやプリンセスラインのドレスは、良家の奥サマや娘さんにピッタリ。とはいえ、前任のピーター・コッピング(Peter Copping)のように安パイは潔しとせず、ドレスを大胆にカットにしてミニ丈に変換したり、メタリックヤーンをふんだんに用いることで未来的なムードを手に入れたり。パンツスーツの上に羽織ったコートは、背面に大きなインタックを2つ盛り込み、コクーンシルエットに仕上げた。ビビッドカラーも新鮮だ。
しかし一番のハイライトは、「モンス」も「デ ラ レンタ」も、ドレスの美しさとバリエーションだ。「モンス」のドレスは色鮮やかなベルベットを主軸に、スナップボタンやドローコードでシルエットの変換を可能にしたスポンテニアスなもの。今シーズン数多く見るアイデアでありディテールだが、「モンス」は最初から複雑なタッキングやドレーピング、カッティングを駆使してドレスを作っているため、スナップボタンをはずしたり、ドローコードを引っ張ったりで生み出すシルエットの変化は、さらに大胆でドラマチックだ。一方、よりコンサバな「デ ラ レンタ」は、同じくベルベットやサテンを多用したスリムが主流。ワンショルダーやベアトップに変換したり、裾をアシンメトリーに仕上げたり、大胆なスリットを加えたりでバリエーションを増す。生地や装飾も千差万別のドレスは、いずれもブラック&ホワイトが主体なのに、飽きさせない。
「ヴェトモン(VETEMENTS)」風のシルエットが勢いを増す一方、今シーズンのニューヨークはクラシカルな王道系エレガンスをモダンにというマインドも顕著だ。マフラーのようなニットや太ベルトのハイウエストマーク、洋服に取り付けたフックなどで、“くびれ”をしっかり見せようという提案が数多い。ローラとフェルナンドの2ブランドは、そんなムードの台頭を強く印象付けた。
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