「ユニクロ(UNIQLO)」は明日、3月15日に高島屋新宿店8階にオープンする「ユニクロ ム-ブ(UNIQLO MOVE)」1号店を一足早くメディアに披露した。「日常をより快適に、アクティブに」がテーマのコンセプトストアで、売り場面積は75坪(約247平方メートル)。店舗の意匠やディスプレーでテニスボールやラケットを飾ったり、「ユニクロ」のアンバサダーを務めるプロテニスプレーヤーの錦織圭やプロゴルファーのアダム・スコット(Adam Scott)とのコラボモデルやサイン入りアイテムを陳列するコーナーも用意。ランニングやヨガなど動きのあるマネキンでアクティブなシーンを演出している。さらに、ラン、ヨガ、トレーニング、バスケットボール、ラグビーなど、得意なスポーツのあるスタッフを起用し、首から下げるネームプレートにカテゴリーを記載する工夫もしている。
「ユニクロ ムーブ」は高島屋新宿店が心身両面の充実を目指すライフスタイルを提案するフロア“ウェルビーフィールド”を開設するのに当たり、「1年前から開発を進めてきた」と堺誠也ファーストリテイリンググループ執行役員ユニクロ商品本部メンズMD担当。「スポーツ需要の高まりとともに、アスレジャーなどスポーツウエアがカジュアル化し、スポーツが日常の生活に溶け込んでいる。スポーツとカジュアルの境界線がなくなっている中で、広義な意味で動き(MOVE)に焦点を当て、“ライフウエア(LIFEWEAR)”をコンセプトに掲げる『ユニクロ』の高機能スポーツウエアとカジュアルウエアを組み合わせたスタイル提案をしていく」と語る。さらに、1号店をこの場所に決めた理由を、「新宿は日本有数のオフィス街、かつ、新しい業態がどんどんできる場所。私たちの未来に向けた新しいコンセプトストアを展開するのにピッタリの場所だと考えた」と続ける。なお、「ユニクロ」は2010年に高島屋新宿店12階に売り場面積500坪(約1650平方メートル)の大型店をオープン。東武百貨店などに続き、百貨店のテナント導入事例として注目を集めた。現在も売上高上位店舗であるといい、「一部、カニバリながらも、12階と8階をお客さまが行き来しながら使い分けてもらえれば」と堺執行役員。
高機能性商材としては、加圧により体の負担を軽減して疲労が蓄積しにくくなるといわれる。コンプレッションウエアのエアリズムバージョン“エアリズム パフォーマンス サポートタイツ”(1990円)や、メンズに加えてウィメンズでも展開を開始した、吸汗速乾性のある“ドライEX”が代表的。止水テープなどを使って防風防水性を高めた“ブロックテックパーカ”(5990円)、“コンフォートブラ”(1990円)などが代表的。これらに、キース・へリング(Keith Haring)やアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)など“UT”のグラフィックTシャツや“ウルトラストレッチジーンズ”などカジュアルアイテムをミックスして提案するのが特徴だ。商品構成比はスポーツウエアが6割、カジュアルウエアが4割程度となっている。
機能性や品質、価格について、本格的なスポーツブランドとの比較は難しいとしながらも、「明らかに安いのは事実。錦織圭選手やアダム・スコット選手、エベレストを制覇した登山家の南谷真鈴さんなど、アンバサダーやプロが認めて着用してくれていることが、高いパフォーマンスの証明だと思う」と自信を見せる。
今後は、大型店などでは「ユニクロ ムーブ」をコーナー展開することなどを検討していくが、多店舗化については「現状では計画はない」という。「ユニクロ」はかつて、インナーやキッズ、ウィメンズなどの小型専門店業態の事業展開に挑戦したことがあったが、採算性の低さから展開を中止した経験がある。1990年代に、アウトドア向けのフリースを街着として提案したことで一気にブレイクした「ユニクロ」が、本気のスポーツライン“ユニクロスポーツ”や、それらとカジュアルウエアを融合した「ユニクロ ムーブ」をさらなる成長の起爆剤にできるか、本格的に事業化ができるか、関心が集まる。
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