服地卸のスタイレムと染色大手の小松精練は、プリント服地で提携する。スタイレムは日本の服地卸の最大手で、服地の企画力と販売力には定評がある。スタイレムがプリント生地の基布の開発やストックを行い、小松精練がインクジェットプリントを使って生産。企画開発と営業は両社共同で展開する。プリント服地市場はかつて、捺染産地の京都を拠点にしたプリント専業の服地卸が担ってきたが、インクジェットプリントの普及や海外製の安価なプリント生地により、縮小や撤退が相次いでいた。酒向正之スタイレム社長は、「かつてはどれだけ在庫を積めるかがビジネスの成功のカギになっていたが、今は多様な柄をきめ細かな対応で顧客と一緒に作り上げていかないといけない時代。かつてとはビジネスの構造が大きく変わっている。今回のパートナーシップを機に、新しいプリント服地のビジネスモデルを確立したい」と意気込む。小松精練の池田哲夫・社長も「スワッチは1週間、見本反は2週間、量産は3週間と、納期に対して取り決めを作り、生産面ではこれまでにない体制を整えた。デジタルプリントは最も強化するカテゴリーの一つで、今後3年間で売上高を倍増させる」という。
両社は合同の展示会を「原宿クエスト」で22・23日に開催。“インディゴ”や“アクティブ”“エキゾチック”“オフ ホワイト”といった4つのテーマを設定し、ジャカードや高機能素材、ワッシャー加工などと、インクジェットプリントを組み合わせたテキスタイル約200点を展示している。
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