ベルギー・アントワープのモードミュージアムでマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)が「エルメス(HERMES)」のウィメンズ・アーティスティック・ディレクターを務めていた時代をフィーチャーする展覧会「マルジェラ:ザ・エルメス・イヤーズ(Margiela: The Hermes Years)」が始まった。8月31日まで。
同展ではディレクターを務めた1997〜2003年の「エルメス」の製品と、自身のブランド「メゾン マルタン マルジェラ(MAISON MARTIN MARGIELA 現メゾン マルジェラ)」を比較して展示。オーバーサイズのバイカージャケットとラムスキンのコート、カシミアセーターと靴下をリサイクルして作ったトップスなどが並ぶ。「アイコン」「レイヤー」「レザー」「イブニング」など14のテーマに分け、マルジェラが得意とするトレンチコートやシャツなどのアイテム、レイヤリングなどの手法を紹介している。「エルメス」のアイコニックなオレンジと、マルジェラのホワイトは会場中にキーカラーとして使用した。
カート・デボ(Kaat Debo)=モードミュージアム ディレクター兼キュレーター・イン・チーフはマルジェラを今フィーチャーすることに対し、「『ヴェトモン(VETEMENTS)』と『バレンシアガ(BALENCIAGA)』を手掛けるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)や『イージー(YEEZY)』のカニエ・ウエスト(Kanye West)、『セリーヌ(CELINE)』のフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)など多くのデザイナーに影響を与えている。彼の女性に対する尊敬が、女性の権利の保護が社会的に注目されている時流にマッチしているのも理由だ。彼の影響力を過小評価することはできない。当時アバンギャルドと捉えられていた彼のクリエイションは、今メインストリームになっている。一見彼のアバンギャルドな製品と『エルメス』のラグジュアリーな世界観は合わないようだが、細かく見ると一つのビジョンのもと、それぞれが同じ方向性を持っていることがわかるだろう」。ピエール・アレクシィ・デュマ(Pierre Alexis Dumas)「エルメス」アーティスティック・ディレクターは「彼は『エルメス』に新しいビジョンを与えた。われわれが大切にする価値や強みに対する確たる自信を持ち、それらに新しい可能性を作った」と語った。