エイチ・ツー・オー リテイリング(以下、H2O)は、セブン&アイ・ホールディングスとそごう・西武から、そごう神戸店と西武高槻店の事業と不動産を譲受すると発表した。昨年10月の基本合意の中に含まれていたそごう西神店は除外する。H2Oは関西屈指のターミナル駅である三宮駅と直結するそごう神戸店を手中に収めることで、関西エリアで他を圧倒する「関西ドミナント化戦略」を加速する。荒木直也・阪急阪神百貨店社長は「システムやポイントカードの統合などを進める時間が必要で、当面は屋号を残したままソフト面でバックアップしていく。ただ屋号を変えるタイミングで、店舗のイメージを刷新し、思い切って新しい魅力を注入したい」と、いずれ大掛かりなリニューアルに踏み込む考えを示した。リニューアル後の姿については、「ターミナル立地であるため、食品や雑貨、ビューティを強化して、特色を持たせていく」とライフスタイル型のMDを目指す。
そごう西神店を譲受先から除外したことについて、会見では記者から質問が集中した。鈴木篤H2O社長は「セブン&アイとの様々な交渉の中で合意に達しなかった。それ以上でもそれ以下でもなく、そごう西神店の立て直しが難しいとか、そういった問題ではない」と繰り返し語った。そごう神戸店(兵庫県)が売り場面積4万3000平方メートル、そごう西神店(兵庫県)が1万8000平方メートル、西武高槻店(大阪府)が3万9000平方メートルと、そごう西神店は3店舗の中で規模が小さかった。
H2Oは長期的な戦略の中で、阪急うめだ本店を核にした「百貨店事業の強化」と「関西ドミナント化戦略」の2つを掲げており、神戸エリアで高い存在感を持ち、売上高451億円(17年2月期)を誇るそごう神戸店はこの2つに合致する、願ってもない大型店だった。人材や屋号、ポイントカードの刷新などを急がず、当面は維持しながら継続する方針を打ち出す背景には、十分なリサーチと熟考を重ねた上で、グループ成長の原動力にするという狙いがある。この数年改装を続けてきた阪急うめだ本店は、「(婦人服のフロアである)3階・4階が改装の成果を上げており、1月以降は前年比104〜105%、今月は106%で推移している」(阪急阪神百貨店の荒木社長)。他社が苦戦する婦人服が、改装で持ち直していることに手応えを掴んでおり、こうしたノウハウをそごう神戸店にも注入する。
H2Oグループとセブン&アイは、H2Oグループのポイントプログラム「Sポイント」の2018年度内の導入を目指しており、導入後は関西圏の「セブンイレブン」でも「Sポイント」が使えるようになる。