「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」は、日本のストリート誌として一時代を築いた「フルーツ(FRUiTS)」とのポップアップショップを表参道の店舗で開催中だ。6月1日まで。「フルーツ」のロゴを使用したTシャツやフーディーの他、44号から100号までのバックナンバーを販売している。また、店舗のディスプレーで「フルーツ」の表紙を再現。ウインドー内に入り撮影すると、自身が「フルーツ」の表紙を飾っているような感覚を味わえる。
ポップアップ初日の5月16日にはオープニングセレモニー創業者兼オーナーのウンベルト・レオンと「フルーツ」の編集長を務めた青木正一が対談を行った。
ウンベルトは「『フルーツ』が休刊すると知り、今までの青木氏の功績に敬意を払いたいと思い、今回のプロジェクトが実現した。『フルーツ』は大学卒業後に住んでいたサンフランシスコの小さな書店ではじめて知ったが、青木氏の人にフォーカスを当てた写真が非常にリアルで、当時の東京のストリート・ファッションがよく伝わってきた。雑誌は色々コレクションしているが、『フルーツ』は中でもお気に入りの雑誌。自分のコレクションでもスタイリングやシルエットなど、『フルーツ』に影響を受けたものがある。デザインは『フルーツ』のロゴを強調した。これを着ることで若返ったような気持ちになれれば、と思っている。ニューヨークのポップアップも好評で、商品を買ってくれた人の6割以上はニューヨーク市外から買いに来てくれた。アメリカでもみんな『フルーツ』を知っているよ」と語った。
青木は「フルーツ」を始めた経緯について、「それまでのDCブランドブームが下火になり、原宿を筆頭に東京のストリートで生まれ始めた新しいファッションに気づき、そのムーブメントを記録したい、と思い始めた。名前はフレッシュでカラフル、そしてユースのイメージから『フルーツ』と名付けた。ロンドンやパリの自由なファッションを日本に伝えたいと思い、『ストリート』というスナップ誌を発行していたが、その種まきが実って、東京に新しいファッションが生まれた、と思っていた。それが『フルーツ』という名前の裏テーマでもある」と語る。
また、青木は、「僕が写真を撮るのはあくまで観察がメーンでドキュメンタリーのようなものだったが、最近はスナップを撮ってもらいたいために奇抜なファッションをする人も増えている」とコメント。これに対しウンベルトは「そういった流れのなかで奇抜と捉えられていたファッションが広く受け入れられるようになった。こういう時こそ新しいスタイルが生まれるのではないかと個人的には思っている」と返した。青木は、「昔もDCブランド一色でファッション的につまらないなと感じていた時期があったが、新しいスタイルが生まれ、『フルーツ』を始めるに至った。現在月刊誌はやめたが、今後もスナップを撮り続けるつもり。新しいムーブメントが生まれた時に見逃さないよう、自分の目を磨き続けないと」と語った。